2010年1月22日金曜日

Night in Galicia~挑戦する伝統音楽

  • ウラジーミル・マルティノフ:「ガリツィアの夜」
ドミートリ・ポクロフスキー・アンサンブル&アンサンブル Opus Posth
1月21日 マリインスキー・コンサートホール 19:00~

これもマリインスキーがやっている「新しい地平線」シリーズの一つ。ただクラシックと言えるかどうかは微妙。もちろん、その正体不明の感じがいいのだが。

どう正体不明かと言うと、ヴァイオリンからコントラバスまでそろった9人の弦楽アンサンブル+混声合唱なので、一見クラシックぽいのだが、音の出し方は全く非クラシック。弦楽器はビブラートをかけず、開放弦を積極的に使用し、荒々しい響を出す。マニアックな話だが、チェロとコントラバスを見てみると、弦はすべてスピルコアのようだ。

合唱を担当しているポクロフスキー・アンサンブルも、普段はロシアの伝統的な農民の歌などを歌っている団体で、以前、ストラヴィンスキーの「結婚」を「原型」に近づけた形で歌ったCDを出して、話題になったりした。今回の試みも、それと通じるものがある。すなわち、「古いものこそ新鮮だ」という点で。

最初、「アーアーアー、オーオーオー、エーエーエー」という奇矯な男声と女声の掛け合いが10分ほど続いた後、弦楽器が入ってくるのだが、基本的には男女の掛け合いで曲が進行する。その歌い方は、明らかにロシアの古い農民の歌い方を模したもの。でも同時にそれが、ものすごく斬新な音楽として聞こえる。温故知新というのは芸術の世界でよくある話だが、これはまさしくその典型。

全部で1時間以上あったが、最後の7分ほどだけ、がらっと雰囲気を変えてクラシック的な弾き方・歌い方になる。つまり、人間の声が西洋的な音楽秩序に収れんしていく過程を描いているのではないかと感じた。

実は全く同じ内容のCDが、ロシアのユニークなレーベルLong Armsから出ている。CDで聞いている段階では、変な音楽だなあとぽけっと聞いていたが、生で見てみると曲の構造が明瞭に理解できた。

衣装は黒を基調としたもので、一見それほど「ロシア」を強調していないのだが、音楽の中身はロシアでしか生まれないものだと思う。伝統を現代に生かすのにこんな方法もあるのかと、興味深かった。

2 件のコメント:

裕介 さんのコメント...

どうもお久しぶりです。
チェロの後輩のurataです。
覚えてますか?読者欄の写真を見て思い出してください!
ざねにこのブログ聞きました。
メール下さい!

sachison さんのコメント...

ご覧の通り、旅行していたのでお返事遅くなりました。
もちろん写真を見るまでもなく覚えていますよ。というか、コメントを読む限り性格が全然変わっていないような気が…。