2010年1月4日月曜日

マーラーのダブル・シンフォニー・コンサート

  1. グスタフ・マーラー:交響曲第4番ト長調
  2. 同上:交響曲第5番嬰ハ短調
ワレリー・ゲルギエフ指揮、マリインスキー劇場管弦楽団、オリガ・コンディナ(ソプラノ)
1月3日 マリンスキー・コンサートホール 19:00~

相変わらず元気な人である、ゲルギエフは。このハードスケジュールの中、マーラーの4番と5番を一晩でやってしまうなんて。仮にゲルギエフはいいとしても、オーケストラの団員は文句を言わないのだろうか?マリンスキーの団員数はかなり多いはずだが(おそらくN響の倍以上)、でも実はよく観察してみると、ゲルギエフが振る時に出演するオケのメンバーはある程度決まっていることに気がつく。しかも若い人が多い。もしかして、ゲルギエフに薫陶を受けて育った「ゲルギエフ・チルドレン」?

さて演奏の出来だが、昨日ほどではないにしても、今まで聞いてきたゲルギエフの演奏の中では、かなり上出来の部類に入るのではないかと思った。いつものようにみんな上手くて、ソロでは名人芸を披露してくれる。4番とか、一般なゲルギエフのイメージからすると彼には合わなさそうだが、綺麗にまとめていた。私見では、ゲルギエフは熱いパッションで振る指揮者ではなく、むしろアンサンブルを綺麗に整えて、洗練させた演奏を聞かせることに長けた人ではないかと思う。マーラーの4番など、決して苦手ではないはずだ。5番も、良かったのは有名なアダージェット。その後の終楽章では、珍しく低弦が気合の入ったゴリゴリした音を響かせていて、なかなか印象的だった。一方、第1楽章とか、もっとドス暗くやって欲しいなあと思う。好みの問題だろうけど。

全体的な水準は決して低くない演奏だと思ったが、現代のように猫も杓子もマーラーを取りあげる時代になると、もうちょっと何か明確な個性というか、方向性を打ちだしてほしいと思う。ゲルギエフほどの知名度のある指揮者となれば、なおさら。でももうちょっと彼のマーラーを聞いてみてもいいかも。まだ6番以降が残っているので、スケジュールが合えば行ってみたい。

2 件のコメント:

yusuke さんのコメント...

ゲルギエフ、ペテルブルクにいると、特に好きでなくても知らぬ間に触れる機会が多くなってしまう人ですよね。

>熱いパッションで振る指揮者ではなく、むしろアンサンブルを綺麗に整えて、洗練させた演奏を聞かせることに長けた人

というのに同感です。曲の方が自然と盛り上げてくれそうな「熱い曲」をやたらとやりたがるものの、そういうのに限って何だかこちらの期待値の6~7割程度しか盛り上がらないことが多かったです。名演もいくつか接しているし、優れた指揮者だとは思うんですが、とにかくむらの多い人でした。

sachison さんのコメント...

まったくもって、仰る通りだと思います。日本でイメージしていたのとは、ほとんど正反対の指揮者でした。いっそのこと、ドビュッシーの「ペレアスとメリザンド」とかに挑戦しないかなと思っているのですが、危険でしょうか(笑)。

あと、もう少しソフィエフとかタタールニコフのような若手指揮者を聞く機会を増やしてほしいです。