2010年1月29日金曜日

1月28日(木)~モーツァルト週間2010を聞きにいくⅤ


朝から雪が降っている。これではホテルから駅に向かうのが大変ではないか。歩ける距離でバスに乗るのももったいない気がするし。

それはともかく、朝、ホテルをチェックアウトした後、マクドナルドでコーヒーを飲みながらメールをチェックし(ホテルではインターネットが使えなかった)、その後、CD屋を見つけたので中に入ってみると、店員さんが親切にいろいろ勧めてくれる。どうやら試聴できるらしいので(ここに限らず、オーストリアでは試聴可能な店が多いようだ)、調子に乗って30分ばかりあれこれ聞いてしまう。これは何か買って出ないとまずいだろうと思い、一番気に入ったWinter & Winterの"Escenas de la Ciudad" というラテンもののCDを購入。このレーベルお得意の、日常的な雑踏の音をバックに哀愁を帯びたラテン音楽が流れるというパターン。21ユーロ。日本で買ったほうが安いだろうが、当分日本に帰る予定もないし、ロシアではたぶん買えない。この際購入しておいても損はないと思った。本当はドイツのジャズのCDを買いたかったのだが、これといったものが見つからず。でもよく考えてみれば、Winter & WinterやECMのようなレーベルが活動していることが、ドイツのジャズ界の現状をよくあらわしているのかもしれない。もちろんこれらのレーベルは本拠地がドイツ(しかも両社ともミュンヘン)にあるというだけで、所属のアーティストは多国籍なのだが、そのことをとやかくいってもあまり意味はないように思う。

その後、モーツァルトの生家、カラヤンの生家(正確には幼少期に暮らした家らしい)を見てまわる。中には入らなかったが、少しばかり感嘆してしまう。特にカラヤンの生家の前から見える風景は美しい(写真)。この風景を見ながらカラヤンは育ったのか。次に、やっとモーツァルトの家に行って有名なモーツァルト一家の肖像画を見る。そしてまた昨日行った楽譜店に行って、バルトークの「弦チェレ」のスコアとシューベルトの「冬の旅」のチェロ版の楽譜を購入。こうしたCDや楽譜の充実度はロシアではありえない。ましてや地方都市では。でも今度のクレジットカードの明細を見るのが怖い。

今回の旅、最後の演奏会はクルタークの「カフカ断章」全曲。自由席なので、早めに会場に到着。

演奏会終了後、駅に向かって荷物を引きずりながら歩いていると、前のほうに見覚えのある女性の姿が。あれ、さっきまでヴァイオリンを弾いていたコパチンスカヤではないか!こんな有名なアーティストが、演奏会終了直後になんで一人で歩いているの!?そんなバカなと思いつつ、恐る恐る声をかけてみると、やっぱり本人だった。どうも何かの手違いで、一人で歩く羽目になったらしい。気さくにしゃべってくれる人だし、せっかくなのでサインをもらおうとしたら、「なんで?」と聞かれて…(автографではなくподписьをお願いされたと思ったらしい)。この人、ファンからサインをねだられたことはないのだろうか?そうこうするうちに、迎えの人がやって来た。そこで彼女、別れ際に、サインの代わりにメールアドレスを書いてくれた。送ったところで返事が来るかどうかは分からないが、旅の最後にいい思い出ができた。

列車の中ではブログの原稿を書き、ベルクの「ヴォツェック」を楽譜を見ながら聞いてみる。疲れている時にこんなことをするなんてと我ながら思ったが、でも最後まで聞いてしまった。スコアの細かい分析はできないが(ましてやベルクの曲など)、それでもスコアを片手に聞いてみると、今まで聞こえなかったいろんな音が聞こえてくる。

8時20分ごろ、ウィーンに到着。ホテルにチェックイン後、近くにあったペルシャ料理のレストランに食べに行く。これが美味しかった。一見カレーのような、でも全然辛くないルーと、食べたことのない不思議なお米の組みあわせ。そもそもペルシャ料理なんて、今まで全然食べたことなかった。ウィーンで思わぬ初体験。

明日の早朝、とうとうペテルブルグに戻る。

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