2010年1月29日金曜日

1月25日(月)~モーツァルト週間2010を聞きに行くⅡ


一日ウィーンで観光三昧。見てまわったのは、リヒテンシュタイン美術館→ホーフブルグ宮殿→シュテファン大聖堂(写真)→モーツァルトの家→音楽の家。そして最後にウィーン楽友協会で、アンドラーシュ・シフの弾き振りの演奏会。楽友協会の感想は別に記すとして、それ以外の場所の感想を。

今回の旅の発見は、ペテルブルグって実はヨーロッパ的な街なのだということに、気がついたこと。何をわかりきったことをと言われそうだが、ペテルブルグで実際に生活していると、日本とあまりに違うロシアの生活習慣に悩まされることが多いため、「この非文明国のどこがヨーロッパなんだ!!」と言いたくなる。それに住みついてしまうと、観光名所にも特に関心を払わなくなるため(週に一度はエルミタージュの横を通るし)、あれらの宮殿が実はものすごくヨーロッパ的な建築なのだということを忘れてしまうのだ。

そもそも「ヨーロッパ=文明国=いい国」みたいな思い込みが、おめでたい西洋中心主義じゃないかという気もするのだが、ここではその問題は措くとして、美術館や宮殿の内装を見て「ああ、ペテルブルグにある宮殿のルーツはここだったのか」と今更ながら実感した次第。

ウィーンの街を歩いていると、確かに立派な歴史的建物物がたくさんあって、素晴らしいとは思うけれど、それならペテルブルグだって負けていないのではないかと思う。確かにペテルブルグのほうが手入れの行きとどいていない建築物が多くて、道路も汚いけれど。ペテルブルグという街は巨大な鹿鳴館ではないかと思っているが、ウィーンに来てみると、少なくとも外観は結構いい線まで来ていることが分かった。でも本当に「あれ!?」という感じである。ウィーンで「本当のヨーロッパ」に触れてしまえば、ペテルブルグに戻れなくなってしまうのではないかと思っていたが、ペテルブルグの価値を再認識することになるとは。

う~ん、なんだか書いていてバカっぽいと思う。あまりにも基本的なことばかり。灯台もと暗しということか。

ほかに気がついたことと言えば、ホーフブルグにおけるエリザベート皇后の利用のされ方。実は展示品を見るまで、シシィというのがエリザベートの愛称だということを全く知らなかった。ただ単に、一番立派そうな場所なので足を運んだのである(なんだか彼女のファンの方には悪いけど)。館内の解説を聞いていると、映画などを通じて広まった彼女のイメージは正しくありませんということを強調しているが(私の場合、その一般的なイメージというのがまずつかめていないのだけど)、一方、ホーフブルグ宮殿の中で彼女はほとんど主役であって、ホーフブルグ≒シシィになっている。しっかり客寄せパンダとして売りだしつつ、解説では脱神話化を図っているということか。観光地とは、そんなものだろうけど。

モーツァルトの家にも行ったが、これはいささか期待外れ。モスクワのスクリャービンの家やペテルブルグのリムスキー=コルサコフの家のように、作曲家が住んでいて当時の様子が残っているわけではなく、せいぜいモーツァルトが窓から眺めていた風景と同じ風景が眺められるのがメリットというところか。モーツァルトはかなりの引越魔だったらしいし、この家の住人も頻繁に変わっているらしいので、やむをえないことではあるけれど。展示品にももう少し知的刺激を呼び起こすものが欲しい(そう感じたのは、私がオタクのせいかもしれないが)。これで9ユーロはちょっと高いというのが、正直な感想。この後行った音楽の家のチケットとセットで購入すれば安くなることを知ったのは、見学が終わった後。音楽の家は、最近の音響研究の成果に触れられるコーナーが楽しい。いろいろ遊んでしまった。もうちょっとゆっくり遊びたかったが、コンサートの時間が迫っていたので、適当に切りあげる。

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