- ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト:歌劇「クレタの王イドメネオ」
マルク・ミンコフスキ指揮、ルーブル宮廷音楽隊、エストニア・フィルハーモニー室内合唱団、リチャード・クロフト(テナー)ほか
1月26日 モーツァルトのための家(旧ザルツブルグ祝祭小劇場) 19:00~
10日間続くモーツァルト週間には聞いてみたい演奏が目白押しだけれども、もちろん全期間ザルツブルグに滞在している時間も金もない。どうしようか迷っていた時、基準になったのがこのコンサート。ミンコフスキが指揮するモーツァルトのオペラは何としても聞いてみたかった。しかもこの日のチケットならば、昨年末の時点でまだ立ち見席(わずか8ユーロ!)が残っていたので、とにかくこれに行こうと決意。
ずっと立って聞く覚悟だったが、会場が暗くなり、オーケストラのチューニングが終わった時点で近くを見ると、空いている席がある。どうやら来ないらしいので、座ることにする。結局最後まで座ることができた。
ミンコフスキのモーツァルトは「ポントの王ミトリダーテ」をDVDで持っていて(リチャード・クロフトも出演している)、それがとても気に入っていたので今回の演奏にも期待していたのだが、全く期待通りだった。「ミトリダーテ」のときと同じく躍動感あふれる素晴らしいもので、文句なし。モーツァルトが作曲時に得ていたであろう霊感が、ミンコフスキの棒を通して、こちらにも伝わってきたような気がした。後半の舞台が始まる際、ミンコフスキが出てきた途端に盛大な拍手が起こって、早くもブラボーの声まで飛んだのには少し驚いたけど、それぐらいの名演だった。
大体ロクにストーリーも把握していないのに(ネットでチラッと確認した程度)、十分楽しかったのだから、ストーリーをちゃんと押さえていれば、もっと楽しめたはずだ。オペラのストーリーをもっと予習してくれば良かったと後悔した。そうすれば、このブログにもっと具体的な感想を書き込めただろうに。
演出についてはYouTubeでも視聴可能だが、かなり現代的なもの。でも決して違和感はなかった。むしろパズルのように次々と組み合わされて変化する舞台装置が、見ていても楽しかった。ちょっと驚いたのは、どうやらトロイとの戦争を白人と黒人の戦いに模していることで、その点でも斬新な舞台だったと思う。
視覚的な点でいえば、ミンコフスキの指揮ぶりも躍動感あふれるもので、それがそのまま音になって出ていた。しかも棒の振り方が大変きれい。(通常はカットされるらしい)最後のバレエの場面で、ダンサーに負けず指揮台の上でパフォーマンスをするミンコフスキと、舞台上の間で、視線を忙しく動かしてしまった。
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