2010年1月6日水曜日

ペテルブルグのセーゲルスタム

  1. ヤン・シベリウス:交響曲第7番ハ長調
  2. ピョートル・チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第3番変ホ長調
  3. レイフ・セーゲルスタム:交響曲第202番「CECILIA, cessi, ...」(世界初演)
  4. ヤン・シベリウス:交響詩「フィンランディア」
レイフ・セーゲルスタム指揮、サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団マクシム・モギレフスキー(ピアノ)
1月7日 フィルハーモニー大ホール 19:00~


フィンランド出身の作曲家兼指揮者と言えばサロネンが有名で、私も好きな指揮者だが、同じ要素が揃っているセーゲルスタムの演奏も好きである。特にマーラーの録音とか好きだ。大胆なデフォルメは一見バーンスタイン風だが、でも響はずっと澄んでいる。リハーサルで楽団員をチェリビダッケ並みにいじめるという話も聞いたことがあるけど(でも、笑顔はなかなかお茶目だった)、確かに前述のマーラーなど、もしチェリビダッケがマーラーを振ってテンポ設定をもう少しまともにしたらこうなるかも、という感じである。

そのセーゲルスタムが、ペテルブルグ・フィルを振るのならば聞きにいかなわけにはいかないけれど、プログラムが変。最初と最後のシベリウスはともかく、チャイコフスキーの作品中でも特にマイナーなピアノ協奏曲第3番に、自作の交響曲202番(22番の間違いではありません)を取りあげるなんて。何を考えているのだろう?

チャイコフスキーは以前ちょっとラジオで耳にしたことがある程度だったけど、今回改めて聞いてみても、やっぱり主題の魅力の乏しさは否めないという感じである。作曲者が作曲を諦めかけたというのも、分かるような気が。聞きどころは、中間部のラフマニノフばりのカデンツァだろうか。モギレフスキーも頑張っていた(数年前、東京でとんでもないチャイコフスキーを聞かせたという噂の、エフゲーニのほうではありません。あしからず)。

シベリウスの2曲はさすがにセーゲルスタムが曲をよく把握しているという感じだが、彼の指揮ならば、もっと上級の(それこそ最高の)シベリウスを求めたい。リハーサルの時間が足りなかったのか、フィンランディアで見せたテンポの揺らし、歌わせ方など、幾分不徹底であると感じられた。それに前から2列目に座っていたこともあるのだろうが、ヴァイオリンの微妙な肌理の粗さが気になった。フィンランディア冒頭の金管のコラールなど、さすがと言いたくなる迫力だったけど。

結局、一番良かったのはセーゲルスタムの交響曲第202番かも。シュニトケの交響曲第1番を聞いたときにも感じたことだけれども、それまで「荒っぽさ」と感じていた要素が、現代曲では「力強さ」に変身する。なんでも作曲者の姉の70歳のお祝いに書いたらしいけれども、ほとんどカオス状態の凄いサウンド。でもよく聞くと、弦の和音とか意外と透明感がある。後半には、「譚盾か!?」と言いたくなるような、楽団員の叫び声が聞こえたり。でも一番驚いたのは、この曲、(おそらく)通常のオーケストラの編成であるにもかかわらず、指揮者がいないのである。指揮者なしでよくもまあ、こんな混沌とした曲を20分以上、続けられるなあと思った。これはオケの手柄。

ロシアの聴衆は正直で、前のおばちゃん達とかあからさまに顔をしかめていた。拍手も、なんだか控えめ(ブラボーも飛んでいたけど)。でも私は好きである、こういう実験的な音楽が。ベートーヴェンの時とは違って、自分で作品それ自体の評価も下せるし、予想がつかない「パフォーマンス」というのが愉しい。

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