2012年2月12日日曜日

札響のトゥランガリラ

  • オリヴィエ・メシアン:トゥランガリラ交響曲
高関健指揮、札幌交響楽団、児玉桃(ピアノ)、原田節(オンド・マルトノ)
2月10日 札幌コンサートホール 19:00~


トゥランガリラって滅多にやらないから、生で聞くチャンスがあったら逃さないようにしようと思っていたら、これで実演に接するのは4度目。10月にもN響定期で聞いたばかりだし(ソリストも同じコンビ)。いつの間にか、最もよく接している曲になっているかもしれない。

札響がこの曲をやるのは初めて。意外なことに、高関さんもこの曲を振るのは初めて。札幌でやるのは、2008年のPMFで取りあげて以来、2度目らしい。ちなみにその時も私は聞きにいきました。準メルクルの指揮で、アンサンブルはかなり整っていたけど、この曲の持つ色彩感というか、色気を感じさせるところまでは、達していなかったように思う。アンサンブルを整えるだけでも大変なのだから、贅沢は言うべきではないのだろうけど。結論を言ってしまえば、この日も同じ感想を抱いた。

プレトークで、高関さんが「難しい曲なので、途中で止まってしまうかもしれません」と言っていたが、全体的には危なげなかった。高関さんのタクトはいつもながら明晰。第5楽章の中間部なんて、金管あたりが迷子になってしまうケースがしばしば見受けられるけど、この日は見事。そもそも本当に止まってしまう可能性があったら、そんなことをプレトークで客に向かって言わないだろう。

と、部分的には聞きごたえがあったものの、全体としてはまだ奏者同士がお互いの音を聞きあって、1つのサウンドを作るところまで達していなかったような気がする。慣れていないのはいいのだけど、それを「新鮮」と感じさせてくれなかったのは残念。こうして聞くと、やっぱりN響って上手いんだなということを実感した。そもそも札響は武満徹を除くと現代音楽をあまりやらないので、そうしたことも反映しているのかもしれない。

なお、高関さんは3月末をもって札響の正指揮者を退任されるそうだ(と言いつつ、5月の札響定期でベートーヴェンの荘厳ミサを振るけど)。お疲れさまでした。そういえばこの人、以前私が大阪で暮らしていたころ、大阪センチュリー(現、日本センチュリー)の指揮者をやっていたし、今度もまた引越先で会うかも。