2009年10月25日日曜日

ペテルブルグのサカリ・オラモとフィンランド放送交響楽団

フランソワ=ジョセフ・ゴセック 「共和制の勝利」
カイヤ・サーリアホ 「Leino Songs」

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン 交響曲第3番変ホ長調「英雄」

ヤン・シベリウス 「悲しきワルツ」(アンコール)ほか一曲

サカリ・オラモ指揮 フィンランド放送交響楽団、
Anu KOMSI(ソプラノ)
10月25日 フィルハーモニー大ホール 19:00~


別にオラモが聞きたかったわけでも、マニアックなプログラムに特別惹かれたわけでもなく、単に「ロシア以外のオーケストラが聞きたい!」という動機で出かけたコンサート。ペテルブルグって地元のオーケストラは耳にたこができるぐらい聞けるかわりに、国外のオーケストラを聞ける機会はそう多くない。じゃあモスクワには国外のオケが来るかというと、そういうわけでもなそうなのだが。オラモについては、名前は知っていたけど、今までCDでもラジオでもちゃんと聞いたことがなかったので、これといったイメージがなかった。どんな指揮者かお手並み拝見と思っていたら、いきなり鮮烈な赤い蝶ネクタイをして出てきたのでビックリ。今までいろんな指揮者を見てきたけど、これは初めて(笑)。

一曲目のゴセックは、今回初めて知った作曲家。よくこんなのをアウェイのコンサートで取りあげるようなあと思う。プログラムを買いそびれてしまったが(なぜか今日は、ちょっとしか用意していなかったらしい)、「共和制の勝利」とは、フランス革命を賛美したオペラを基にした組曲らしい。演奏のほうは、明らかに古楽奏法を意識した響。ティンパニなどに端的に表れている。ただし配置は両翼ではない。でも全体として中途半端な印象を与えず、小気味いい。オラモって、こんなことができる人だったのか。

二曲目はサーリアホ。オーケストラの色彩の変化、それに溶けこむ声の扱い方、うるさすぎない不協和音がちょうど好みで、いい曲だと思ったが、指揮者が響をややコントロールできていない印象あり。慣れないホールで戸惑ったではないか、という気もする。あと、前の席に座っていたおばちゃんたちが、退屈したのか時々小声でしゃべっていたのが邪魔。退屈するのはしょうがないとしても、黙っててくれないかな(ロシアの聴衆に、そんなマナーを求めるのは無理かもしれないけれど)。

三曲目のベートーヴェン(やっと「まともな」曲)も、やはり古楽の影響を意識させる演奏。でもこちらはゴセックの時と違って、演奏の方向性に迷いが見られる気がした。部分部分の響かせ方は面白いのだが(特に第二楽章の中間部とか見事だった)、最終的に「英雄」をどういう曲として提示したいのかが、見えてこない。さっそうと快速で押し切るのか、昔のように巨匠風の堂々たる交響曲とするのか、それとも…?この方向性の定めにくさが「英雄」の難しいところだと思う。3年ぐらいしてからもう一度彼らの演奏を聞いてみれば、いい演奏になっているかもしれない。

アンコールはシベリウスを2曲。「悲しきワルツ」と、もう一曲は曲名を聞きのがした。割合サラッとした演奏。

今回は、ものすごく満足というわけではないが、機会があればまた彼らの演奏を聞いてみたいと思わせる演奏会だった。

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