2009年10月3日土曜日

ウラジーミル・フェルツマンのリサイタル

ヨハン・セバスチャン・バッハ パルティータ第1番変ロ長調
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第8番ハ短調「悲愴」
モデスト・ムソルグスキー 「展覧会の絵」
ウラジーミル・フェルツマン(ピアノ)

10月3日 マリインスキー・コンサートホール 19:00~


実はロシアに来てから、初めて行くソロ・ピアノ・リサイタル。オーケストラやオペラのほうにばかり気が行って、ソロ・リサイタルに行く機会がなかった。フェルツマンを聞くのも初めて。CDでも聞いたことがない。

フェルツマンのことは、ネットでチラチラと評判を見て、なんだか渋いピアニストのイメージがあったが、実際に聞いてみると、華やかな部分にも事欠かない。そして、とても柔らかい音の持ち主だ。

バッハのパルティータは何べんも聞いていて、今日の演奏にも何の不満も感じなかったが、実はベートーヴェンの「悲愴」を聞くのは初めて。先日のモーツァルトに続いて、偏食ぶりが露呈した。

確かにベートーヴェンの交響曲は好きだけれども、ピアノ・ソナタや弦楽四重奏はあまり積極的に聞く気になれない。ベートーヴェンの持つ、「意志の力」みたいなものがむきだしになっている気がして、家では落ちついて聞けないのだ。その点、オーケストラ曲のほうが派手で楽しめる。今日、「悲愴」ソナタを生で聞いて、魅力的な曲だとは思ったけれども、まだ家で聞く気にはなれないとも思った。私が、ベートーヴェンのピアノ・ソナタや弦楽四重奏の世界に入るのは、いつのことだろう。

一番フェルツマンにはまっていると思ったのは、最後の「展覧会の絵」。私もほかの人と同じく、ラヴェルによる管弦楽版からこの曲に入った口だが、先にオケ版を聞いてしまうと、オリジナルのピアノ版が、なんだか習作のように聞こえてしまう。しかしフェルツマンは、ピアノならではの色彩感を見事に引きだしていて、これがオリジナルなのだということを思いださせてくれた。和音の響かせ方が、とても上手い人だと思う。CD録音もしているみたいだけど、この演奏の魅力が、ちゃんとマイクに捕らえられているだろうか。

次はドビュッシーとか、どうだろう。面白い演奏になる気がするのだが。

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