- モーリス・ラヴェル:組曲「クープランの墓」
- アンリ・デュティユー:メタボール
- エクトル・ベルリオーズ:幻想交響曲 作品14
チョン・ミョンフン指揮、フランス放送フィルハーモニー管弦楽団
12月17日 フィルハーモニー大ホール 20:00~
14日に開幕した「芸術広場祭」だが、今年は露仏友好年にちなんでフランス特集。17日はチョン・ミョンフン率いるフランス放送フィル。前任者のヤノフスキの時代に一躍有名になったオケだが(ヤノフスキ時代の4枚組のCD BOXセットを持っているけど、確かにいい)、当日会場に行ってみると、席は4分の3ほどしか埋まっていない。一階席の一番後ろで1000ルーブルとチケットが高めだったので、それで売れ残ったのかも。日本の感覚からすれば、それほど高いとも言えないが。
今年の6月にも、チョン・ミョンフンはソウル・フィルを率いてペテルブルグに来ているが、その時はオケが指揮者の指示を守って、楽譜を几帳面に音にしていたのに対し、フランス放送フィルの場合は、よりオケに自発性が感じられた。どちらもチョンの指導の結果なのだろうが。
まずは「クープランの墓」。オーボエのソロが上手い!!ちょっとしたタメ、音の伸ばし方にセンスの良さを感じる。それが彼女の自発性によるものなのか、チョンの指示なのかは分からないけど、全体的に木管がとても上手い、というかセンスがいいと思ったのは確か。
続くデュティユーも見事な色彩感。ただ単に音を鳴らすだけではなくて、オーケストラが全体としてどういう響を出さなければならないかを団員一人一人が理解して、それぞれの役割を果たしている。5曲目に限っては金管が怪しかった気がするけど、デュティユーなんてロシアでめったに聞けないので(ましてやこの水準のものは)、満足した。問題は、隣に座っていた若い女性2人が小声で駄弁っていたことか。おまけに演奏の最中に席を移動する人がいるし。まったくロシアの聴衆は…。
ということで、幻想に期待したのだが、これはやや期待外れだったかも。メリハリの利いた演奏だったと思うのだが、今一つ興奮できなかった。ラヴェルやデュティユーの時に感じた、「この人たちにしか出せないもの」というのを感じさせるのに、あと一歩なのだ。先日のソヒエフの時も、指揮者はいろいろ工夫しているはずなのに、今一つだった。テレビ、ラジオ、CDでいろんな名演に接しすぎたせいか、満足できる幻想の実演に出会うのは、案外難しいのかもしれない。
アンコールでラヴェルの「マ・メール・ロア」より「妖精の園」を取りあげていたが、これは出だしから夢幻的な雰囲気が満点。そうそう、コレコレ。これが聞きたかったのだ。最後は満場の拍手にこたえて、「カルメン」前奏曲をやって終わり。
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