2010年12月9日木曜日

雪、雪、雪のコンサート

  1. エーリヒ・ウォルフガング・コルンゴルト:「雪だるま」より抜粋(ペテルブルグ初演)
  2. ニコライ・リムスキー=コルサコフ:組曲「雪娘」(D. ユロフスキ編)
  3. ピョートル・チャイコフスキー:交響曲第1番ト短調「冬の日の幻想」 作品13
ドミートリ・ユロフスキ指揮、サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団、オリガ・トリフォノファ(ソプラノ)
12月9日 フィルハーモニー大ホール 19:00~

一見して分かる、冬と雪がテーマのコンサート。まさしく今の季節にふさわしい。しかし会場にたどり着くまでが大変だった。今日のペテルブルグは夕方から猛吹雪。歩いていると、全身あっという間に真っ白。しかしバス停にも地下鉄の駅の入り口にも長蛇の列で、公共交通は使いづらい。ペテルブルグでここまで吹雪くことも珍しい気がする。

それはともかく、今日の指揮者はユロフスキ。といっても、最近ロンドン・フィルを振って売り出し中のウラジーミルのほうではない。ドミートリである。ネットで調べてみるとどうやらこの2人、兄弟らしい。

1曲目はコルンゴルトの「雪だるま」。何と作曲者11歳の時の作品。自分が11歳のとき、何していたかなと考えながら聞いてしまった。もちろんただの小学生だったわけだが…。オーケストレーションは先生のツェムリンスキーが手伝ったらしいけど、それにしても11歳の作品とはとても思えない。まるでR. シュトラウスの「ばらの騎士」のような甘い世界。マーラーやR. シュトラウスから神童扱いされたのもうなずける。これだけの恵まれた才能を持ちながら、晩年は「時代遅れ」のレッテルをはられて不遇だったというのだから、人生何が起きるか分からない。時代の波って恐ろしい。

次の「雪娘」は、同名のオペラから指揮者が自分で編んだもの。これはソプラノのトリフォノファが良かった。澄んだ声で発音も明晰。それにこういう曲を聞くと、R. コルサコフのオーケストレーションって凝ってるというのがよく分かる。ここに近代管弦楽法の基本があるんだなと。

メインはチャイコフスキーの1番。期待していたのだが、やや期待外れの演奏。このオケにとってチャイコフスキーは十八番のはずだが、今日は弦の鳴りが今一つで、リズムの詰めも甘い気がした。時々意外な内声部が聞こえてくる解釈は部分的に面白いが。もしかして指揮者がオケをいじくりすぎたのでは。もっとオケに任せればよかったのでは。

終演後は相変わらずの吹雪の中、歩いて帰る。

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