2010年12月15日水曜日

テミルカーノフのラヴェル

  1. モーリス・ラヴェル:組曲「マ・メール・ロア」
  2. 同上:左手のためのピアノ協奏曲ニ長調
  3. 同上:「ダフニスとクロエ」第2組曲
  4. 同上:ラ・ヴァルス
ユーリ・テミルカーノフ指揮、サンクト・ペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団、エリソ・ヴィルサラゼ(ピアノ)
12月14日 フィルハーモニー大ホール 20:00~

12月は聞きたいコンサートがたくさんあって困る…。

テミルカーノフとラヴェルってなんだか結びつかないが、でも実は、彼がデンマーク放送交響楽団を振ったラヴェルのラ・ヴァルスとマ・メール・ロアのCDは、結構いいと思う。特にラ・ヴァルスは熱い。

聞いた結果は、絶品というわけではないけれど、割と満足できる水準だった。ラヴェルの面白さは十分伝わってきた。ラヴェルといえば、ゲルギエフも得意にしている(一般には、ゲルギエフとラヴェルはまるで結びつかないみたいだけど、私の中では、ゲルギエフはラヴェルのような作品を振る時にこそ、その長所を発揮する)。確かに色彩感は、ゲルギエフのほうが上のような気がする。でもそう聞こえたのは、主に会場のせいではないだろうか。マリインスキーのコンサートホールのほうが残響が豊かで、それでいて音の抜けがいいので、ラヴェルのような近代管弦楽向きである。テミルカーノフの演奏も、マリインスキーのコンサートホールで聞いていれば、さらに名演に聞こえたかもしれない。何がともあれ、6月のマーラーの時のような違和感はなかった。

ソリストのヴィルサラゼは、最初からミスタッチでどうなることかと思ったが、最後のカデンツァは意外とちゃんと弾けていた。カンデンツァを集中的に練習したということ?それにしてもこの曲、素人の耳にはCDで聞く限り、両手で弾いているように聞こえる。実演で見ても、何で左手一本であれだけ音が出てくるのか不思議。

あと不思議だったのは、テミルカーノフの楽譜。最後のラ・ヴァルスで使用していたのは、たぶんDover版。われわれ音楽愛好家にとっては、Doverは手軽に入手できるありがたい出版社だが、テミルカーノフのようなプロの人も使うのだろうか?そういえば去年、ゲルギエフの「指輪」を見にいった時も、Doverを使っていたような…。ひょっとしたらめくりやすいとか。でも実はラ・ヴァルスの最中、テミルカーノフが一カ所めくり間違えて、慌ててページを戻していたのがちょっと可笑しかったのだが。

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