2010年12月4日土曜日

バレエ・プレルジョカージュ in St. Petersburg

  1. 結婚
  2. ケンタウロス
  3. 春の祭典
バレエ・プレルジョカージュ
12月3日 マリインスキー劇場 20:00~


「春の祭典」のラスト。百聞は一見に如かず。実際に見てくださいとしか、言いようがない。

女性が全裸になるなど、モダンバレエの世界では珍しくも何ともないかもしれないが、普段バレエを見ない人間が生で見てみると、やはり衝撃的である。特にロシアではこのような「過激な」振付には出会えないだけになおさら。テレビでは、日本では放送できないような下ネタが氾濫しているのに。そもそも、冒頭からして女性がパン××を脱ぐところから始まるのだ。なぜか今日はここで、会場から拍手と笑い声が起きた。おまけに、なぜか今日は子どもがたくさん来ていた。なんで…?

あからさまに性的な興奮を誘発する振付だが、でも「春の祭典」とはよく指摘されるように、人間の根底にはそういう衝動が潜んでいるということを暴きだした音楽なのだ。実は、以前びわ湖ホールで同じ振付を見たことがある。その時は、ラストの全裸にあっけにとられただけで終わってしまったが、今日は振付の意図を体感することができた。もちろん、最後に中央で踊る女性のダンサー(今日は日本人ではなかった)だけでなく、全員の動きが素晴らしく、また照明の使い方も見事だった。人間の原初的な欲望を、洗練された手法で描くというギャップの面白さ。

こういう「洗練された前衛」というのは、ロシアではなかなか出会えない。先日聞いたマルティノフにしても、よくも悪しくも素人っぽさというか、「単純さ」がある。理念としては難しいことを説いているのに、実際に出てくる作品はむしろ妙な「わかりやすさ」が付きまとっている。こういう前衛のアイディアなら、私でも思いつきそうだとふと思ってしまうのだが、それは聴衆として傲慢だろうか。

一方、今日のバレエは完全にプロの世界。こんな世界、私には絶対に作れません。ラストシーンで「興奮」を覚えながら、ああ完全にプレルジョカージュの手玉に取られてしまったと思った。もちろん聴衆の中には、あからさまに嫌悪感を示す人たちもいたけど。

でも考えてみれば、「春の祭典」はロシア人たちが作ってパリで初演したものなんだなあ。改めて思いおこしてみると、とても面白い。

「春の祭典」ばかりになってしまったが、「結婚」も「ケンタウロス」も面白かった。特に「ケンタウロス」(音楽はリゲティ)では、二人の男性のダンサーの肉体美を見せつけられた。

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