- モデスト・ムソルグスキー:幼年期の思い出
- 同上:お針子
- 同上:村にて
- 同上:組曲「展覧会の絵」
- イーゴリ・ストラヴィンスキー:4つの練習曲
- 同上:セレナードイ長調
- 同上:ペトルーシュカからの3楽章
ニコライ・マジャラ(ピアノ)
12月10日 フィルハーモニー小ホール 19:00~
今年の3月に聞いて、「お、このピアニストいいかも」と思ったニコライ・マジャラ。昼間の疲れは残っていたし相変わらず雪は降り積もっているが、それでも聞きにいった。
しかしムソルグスキーとストラヴィンスキーの作品のみで構成されたピアノ・リサイタルなど、聞いたことがない。2人とも大作曲家とはいえ、ピアノの作曲家とはみなされていないからだ。もちろんムソルグスキーの場合は、代表作に「展覧会の絵」があるが、あれも事実上、ラヴェル編曲の管弦楽版で広まっているし。それにしても、「展覧会の絵」は不思議な作品で、ラヴェルという「決定版」があるにもかかわらず、次から次といろんな管弦楽版が現れる(でもラヴェル版の地位は揺るがない)。それだけでなく、チェロとアコーディオンで演奏したやつだとか(長谷川陽子のCD。結構好きである)、ELPのロック版だとか、一体どこまで編曲されていくのだろう。詳しくは、「展覧会の絵の展覧会」なるすごいサイトを参照。
とまあ、そんなことをつらつらと考えながら聞いていたのだが、「ボリス・ゴドゥノフ」や「ホヴァンシチナ」を一通り聞いたせいか、これまで「下書きっぽいなあ」(失礼!)と思っていたら「展覧会の絵」のオリジナル版から、ムソルグスキーの美学の匂いを感じ取ることができた。なるほど、こうして聞くと、ラヴェル版は少々派手すぎるかもしれない。でもラヴェルを超える編曲はなかなか現れない。
もちろんそんなことを考えたのも、マジャラの演奏が良かったからだ。たぶん世界中を探せば、彼よりもさらに指がよく回るピアニストはいるだろう。今、楽器の技術は本当に天井知らずだから。でも彼の音色に対するセンスの良さは、ちょっと得難い。心地よい響きに身をゆだねることができる。また、対位法の描きわけも上手い。曲の構造が立体的に見えてくる。これで120ルーブルは安かった。
<追記>
吉松隆氏がこんなことを書いているのを発見。ということは、昨日聞いたのはプログレの起源だったのだろうか?
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