2010年3月26日金曜日

ブーレーズの誕生日

  1. ピエール・ブーレーズ:ピアノ・ソナタ第1番
  2. 同上:ル・マルトー・サン・メートル
ニコライ・マジャラ(ピアノ)、アンサンブル・プロ・アルテ
3月26日 フィルハーモニー小ホール 19:00~


今日、2010年3月26日はピエール・ブーレーズの85歳の誕生日だそうである。おめでとうございます、というところだが、だからと言って、まさかペテルブルグでブーレーズの作品が演奏されるとは思わなかった。企画したのは、プロ・アルテというペテルブルグの文化団体。

ポスターには、眼光鋭い若き日のブーレーズの写真。こういうのを見ると、最近の彼は良くも悪しくもすっかり好々爺になったなあと思う。作曲家ブーレーズに興味があるロシア人なんてほとんどいるまいと高を括り、開始直前にチケット売り場に行ってみると長蛇の列。なんで???何とかチケットを買って会場に入ってみると、席はほとんど埋まっている。この会場がこれだけ埋まっているのを見たのは、マイスキーの時以来だ。

最初はブーレーズのピアノ・ソナタ第1番。ニコライ・マジャラという名前も聞いたことのない若手ピアニストで特に期待していなかったが、これが凄かった。複雑極まりない楽譜をちゃんと把握し、メシアンの衣鉢を継ぐ若手作曲家の魅力的な作品として聞かせていた。家に帰って調べて見ると、彼は2004年のプロコフィエフ国際コンクールの覇者とかで、マリインスキーなどにも出演したことがあるらしい。今度どこかのコンサートに出るときは、聞きのがさないようにしよう。

続いては、マラルメの詩をロシア語とフランス語で朗読。これはついていけなかった。

後半は、ブーレーズのみならず、20世紀を代表する傑作との呼び声も高い「ル・マルトー・サン・メートル」。でも正直に告白すると、私はこの作品の魅力がよく分からない。もしこれで、ブーレーズの他の作品にも魅力を感じないのだったら、単に「作曲家ブーレーズ」は分からないで済むのだが、問題はそうもいかないところ。それほど積極的に聞くことはないものの、ブーレーズの他の作品、「プリ・スロン・プリ」「ノタシオン」(管弦楽版)「メッサジェスキス」「レポン」などは、嫌いではない。でもよりによって、代表作の「マルトー」が何度聞いても馴染めないのだ。

ただ生で聞いてみると、そこそこ楽しめた。これが「傑作」なのかどうかは分からないけど、20世紀音楽の「美」がここにあることは分かった。演奏も、予想以上に楽譜を咀嚼している。それにしてもブーレーズの作品が、ロシアの演奏家集団によって取りあげられ、そのコンサートに客が来るような時代になったのだ。

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