2010年3月21日日曜日

バッハの誕生日に

  • ヨハン・セバスチャン・バッハ:無伴奏チェロ組曲全6曲
アレクサンドル・クニャーゼフ(チェロ)
3月21日 フィルハーモニー大ホール 19:00~

3月21日はJ.S.バッハの誕生日ということで、フィルハーモニーではクニャーゼフによる無伴奏チェロ組曲の演奏会。でもまさか、一晩で6曲全部やるとは思わなかった。

確かにポスターには「6つの組曲」と書いていたのだが、当日、3曲ぐらい選んでやるのだろうと高を括っていたら、さにあらず。会場でプログラムを見てびっくり。休憩を2回はさんで、番号順に全部やることになっている。クニャーゼフは全部弾ききる自信があるのだろうが、むしろこちらの体力が持つのか不安になった。まるでマラソン。

でも結局、最後まで彼の演奏につきあうことになった。最初の3曲が終わった時点では、聞いているこちらが疲れてしまって「やっぱり一晩で全6曲は聞くのがきつい」と思っていたのだが、意外にもその後の後半のほうに引きこまれた。

クニャーゼフという人は、軽くパーマのかかった長髪でいかつい顔をしており、チェロよりもエレキギターのほうが似合いそうな雰囲気だが、外見に似合わず出す音は軽く柔らかい。そして高音が美しい。この長所が活きていたのが5番と6番。5番は短調だが、クニャーゼフの音色と面白い具合にマッチして、いたずらに深刻ぶることなく、美しい演奏に仕上がっていた。6番も、終曲のジークはさすがに疲れがたまったのか技術的に苦しそうだったが、それ以外は高音の美しさが活きていた。特に長いアルマンドがよく歌って見事。

バッハの誕生日にふさわしい演奏会だったかもしれない。そうは言っても、終わったのは10時半。最後はやっぱり疲れたし腹もへった。

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