2010年3月16日火曜日

アヴァンギャルドから現在へ

  1. マティアス・セイバー:ソプラノとクラリネットのための「3つの明けの明星の歌」
  2. アルバン・ベルク:クラリネットとピアノのための4つの小品
  3. ボリス・ゴルツ:ピアノのための2つのプレリュード
  4. ギデオン・クライン:ピアノ・ソナタ
  5. レオシュ・ヤナーチェク:ピアノ・ソナタ
  6. エレーナ・ポプリャノヴァ:無伴奏ギター・ソナタ
  7. ローラ・カミンスキ:「ヴコヴァル」ピアノ三重奏曲
  8. ベーラ・バルトーク:2台のピアノと打楽器のためのソナタ
Julia Simonova (soprano), Daniela Hlinkova, Oleg Malov, Sergey Uryvaev, Julia Stashkova, Dinara Mazitova (piano), Adil Feodorov (clarinet), Semon Klimashevsky (violin), Andrey Smirnov (cello), Anton Nazarko, Alexander Shalimov (percussion)
3月16日 フィルハーモニー小ホール 19:00~

現在フィルハーモニーを中心に行われている、「アヴァンギャルドから現在へ:戦争と平和」という連続コンサートの一環。実は先日のロスラヴェッツは、この企画の幕開けだった。

今回も凝ったプログラム。たとえば4番目のクラインはアウシュヴィッツで殺された作曲家であり、ヤナーチェクの弟子である。6番目、7番目は現役の作曲家の作品であり、作曲家自身が会場に見えていた。ただしこうした渋いプログラムに来る客がそんなにいないのは、もう分かりきったこと。演奏家は、若手が中心。

一曲一曲についてコメントしていてはキリがないので、特に印象に残った最後の2曲について。カミンスキのピアノ三重奏曲は、冒頭のピアノの激しいトーン・クラスターに一瞬たじろいだが、でもよく聞くと意外と親しみやすいリズムとメロディーを持っている。リズムに関しては、幾分ロックっぽいような気も。ただ端の鍵盤を使い、激しく叩きつけるピアノに対して、弦楽器の2人が大人しい。作曲者の指示かもしれないが、むしろ奏者の技量の問題ではないかという気もした(特にヴァイオリン)。もう少しメリハリの利いた演奏で聞けば、さらに名曲に聞こえたのではないだろうか。

最後はお目当てのバルトーク。弦楽四重奏曲と並び、バルトークの室内楽の傑作と評されている作品だが、あまり実演でお目にかかる機会はないような気がする。編成が特殊だからか。でもその分、生で見ると面白い。2人の打楽器奏者がいろいろな楽器を駆使し、2人のピアノ奏者とやりあさまは、見る価値がある。もちろん、音楽自体もあらためて見事なものだと思った。あまたあるこの曲の録音と比べてどうこう言うのは易しいけれど、でも十分満足できた。

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