2010年3月20日土曜日

ピーター・ドノホー in St. Petersburg

  1. ウォルフガング・アマデウス・モーツァル:ピアノ・ソナタイ長調「トルコ行進曲付き」
  2. ヨハネス・ブラームス:6つの小品
  3. モーリス・ラヴェル:水の戯れ
  4. 同上:「鏡」より「鐘の谷」
  5. フランツ・リスト:「巡礼の年」より第1年第9曲「ジュネーヴの鐘」、第3年第4曲「エステ荘の噴水」
  6. セザール・フランク:前奏曲、アリアとフーガ
  7. オリヴィエ・メシアン:カンテヨジャーヤー
ピーター・ドノホー(ピアノ)
3月20日 フィルハーモニー大ホール 19:00~

感想を一言でまとめると、月並みだが「世の中には上手いピアニストがたくさんいるなあ」ということである。今の時代、これぐらいのプログラムをひょいひょいとこなせないと、ピアニストとして第一線で活躍出来ないのかもしれない。

最初のモーツァルトは、古楽などまるで意識していないかのような、モダンなサウンド。ある意味メカニック。ショパンやラヴェルやメシアンのピアノを通過した後のモーツァルトである。「味わい深い」というわけではないが、でもこれもありかな、と思わせる。続いてはブラームスだが、私はブラームスの交響曲は大好きなものの、ピアノ独奏曲にはまだついていけないでいる。聞いているうちに迷子になってしまうのだ。今回もそう。おまけにロシアではよくあることだが、観客が楽章ごとに大きな拍手をする。ドノホーもやりにくそうだった。

休憩をはさんで、第2部はラヴェルとリストを一気に間髪入れず演奏した。最初、ロシアの観客の拍手に業を煮やしたかと思ったが、どうもそういうことではなく、最初からひとまとまりで聞かせるつもりだったらしい。プログラムをよく見ると「水→鐘→鐘→水」というシンメトリーな構成になっている。テクニック的にも、特にリストが唖然とするほど上手く(よくあれだけいろんなパッセージを明確に弾きわけられるなと思う)、このコンサートの白眉だったように思う。

次のフランクもお見事。もっとも私はまだフランクの魅力に目覚めていなくて、お決まりの交響曲ニ短調とヴァイオリン・ソナタぐらいしか知らないのだけど。当然「前奏曲、アリアと終曲」は初めて聞いた曲だが、交響曲にそっくりのメロディーが出てきて驚いた。帰って調べて見ると、ほぼ同じ時期に作曲されているらしい。

最後はメシアンだったが、本当はこれが一番聞きたかった。どうせなら、メシアンのみのプログラムとか聞いてみたいのだけど、そんなことをロシアでしたら客が来ないだろうな…。さすがにこの曲のみ、楽譜を見ての演奏。確かに指は回っているし迫力もあるのだが、メシアンにしては少し音が堅いかも。メシアンのピアノ曲に関しては、以前札幌で、ロジェ・ミュラロによる「幼子イエスに注ぐ20のまなざし」全曲演奏に接したのが忘れられない。ドノホーも悪くはないが、さすがにあの域には達していなかった。

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