2010年5月28日金曜日

ピンチヒッターの楽しみ

  1. ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第1番ニ長調 作品12
  2. セルゲイ・プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ第1番ヘ短調 作品80
  3. ヨハネス・ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品77
アリョーナ・バーエワ(ヴァイオリン)、ワジム・ホロデンコ(ピアノ)、ザウルベク・ググカエフ指揮、マリインスキー劇場管弦楽団
5月27日 マリンスキー・コンサートホール 19:00~


本当は今日、グリモーのソロ・リサイタルがあるはずだったのに、キャンセル。代わりに行われたのが、このコンサート。そのため、前半がソナタで後半が協奏曲という、ちょっと変わった組み合わせ。

バーエワ(バーエヴァ)が舞台に姿を見せた途端に、驚いた。ものすごく大きなお腹。もしかして、すでに産休に入っていたのに、マリインスキーから呼び出されたとか!?

ベートーヴェンの出だしの、べた~とした歌い方を聞いた時には、今日はハズレかなと思ったけど、徐々に調子が出てきた模様。ただ若いベートーヴェンの魅力を引き出すには、もうちょっと軽やかさが欲しい。むしろピアニストのほうが、曲想にマッチしている感じがする。

しかしプロコフィエフでは、曲の個性とバーエワの個性がマッチして、かなり楽しめた。正直に告白すると、ベートーヴェンのソナタも、プロコフィエフのソナタも、今までちゃんと聞いたことがなかった。しかし特にプロコフィエフのソナタは、かなりの傑作ではないだろうかと思った。ものすごく情熱的でスケールの大きな曲。そう思ったのはもちろん、バーエワの演奏がそうだったからなのだろう。ひょっとしたら第3楽章など、もっと怪奇な表現が可能かもしれないが、それは他の演奏も聞いてみなければわからない。

ブラームスはどうなるだろうと思っていたら、これも良かった。特に第1楽章が熱演!!1年前に聞いた諏訪内晶子とテミルカーノフの同曲の演奏が、どこか煮え切らなかったのに対し、バーエワは完全に吹っ切れていた。

意外だったのはオーケストラの健闘。メンバーは一軍と二軍の混合と言ったところか。どうせ「俺たち伴奏だし~」みたいな演奏をするのだろうと高をくくっていたら、さにあらず。バーエワに対抗してか、頑張ってブラームスっぽい音を出す。ヴァイオリンはいささか音の薄さを感じさせたが、木管は大健闘。無名の若手指揮者なのに、ゲルギ○フのブラームスよりいいんじゃないの?

グリモーのキャンセルは残念だったけど、代わりにいろいろ収穫はあった。特にバーエワには、無事出産して舞台に戻ってきてほしいと思う。

しかしそれにしても、バーエワが85年生まれ。個人的に特別な存在であるコパチンスカヤが77年生まれ。こうやって次から次と新しい才能が出てくるのだ。この世界で活躍を続けるのも楽じゃないということを、今さらながら改めて感じた。

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