2010年5月16日日曜日

リャードフのバレエ

  1. アナトーリ・リャードフ:春の予感
  2. モーリス・ラヴェル:ボレロ・ファクトリー
ワシーリー・カン、アレクセイ・レプニコフ指揮、マリインスキー劇場管弦楽団
踊り:イリーナ・ゴルブ、ヴィクトリア・テレシュキナほか、振付:ユーリ・スメカロフ

5月16日 マリインスキー劇場 19:00~


リャードフと言えば、バレエ「火の鳥」の仕事をストラヴィンスキーに取られ、それをきっかけにストラヴィンスキーは一気にブレイクするという、損な引き立て役で有名な人。実を言うと、私も彼のことはそんなによく知らない。

別にリャードフが「春の予感предчувствие весны」という曲を書いたわけではなく、「魔法にかけられた湖」「バーバ・ヤガー」「キキモラ」「8つのロシア民謡」という彼の代表作を伴奏にしたバレエ。魔法にかけられた湖で、豊穣の精(?)がヤリーラ神の助けをかりて冬の精、死の精を追い払い、春をもたらすという分かりやすいストーリー。舞台装置も衣装もシンプルだったが、その分ダンサーの演技力が活きていたように思う。

リャードフの音楽は、編成が大きく響は美しいのだけれど、確かに盛り上がりに欠ける。それを反映して、あのような振付にしたのか。ヤリーラ神と冬の精の勝負も、あっさりついてしまう。普通のバレエだったら、派手な対決になりそうなのに。

一方、さすがにボレロは対照的。こちらは大いに盛り上がった。ただしストーリーは完全に変えられていて、人間の魂を象徴する女性ダンサーと7つの大罪を象徴する7人の男性ダンサーの共演。詳しくは知らないけど、ヒントになった原作があるらしい。

たぶん、人間の無垢な魂が汚れていく過程を表しているのではないかと思って見ていたが、とにかくその危なっかしさが、魅力だった。客席も随分と興奮して、長いカーテンコール。ダンサーが何度も舞台に呼び出されていた。

これでオケが上手かったら私も大興奮だっただろうけど、さすがにボレロとなると、オケの技量がはっきりと出る。さすがに、ソロが落っこちるということはなかったものの、あまり上手くなかった。それでも最後は盛り上がったのだから、ラヴェルは偉大だと改めて痛感した次第。

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