- セルゲイ・プロコフィエフ:歌劇「炎の天使」
4月11日 マリインスキー劇場 19:00~
ゲルギエフを除けば、今マリンスキー劇場の指揮者で最も国際的に活躍しているのが、ソヒエフ(ソキエフ)だろう。まだ32歳であるにもかかわらず、とうとうベルリン・フィルにデビュー!!だが国際的に活躍しているせいか、案外ペテルブルグで聞く機会が少ない。2月に彼の指揮でヴェルディのレクイエムを聞いたけれど、前半と後半で明らかに演奏の充実度に差があり、「これは確かにすごいやつだ!!」ということにはならなかった。
でも出世しそうなので(笑)、今のうちにもうちょっと聞いておきたいなと思っていたら、今度はプロコフィエフの歌劇「炎の天使」を振るのを見つけた。「炎の天使」は聞いたことがなかったけれど、それを改作した交響曲第3番は結構好きである。分かりやすいメロディーと派手な不協和音の組みあわせがツボにはまる。というわけでソヒエフに再挑戦してみたのだが、結果は…。
正直な感想を言うと、ソヒエフという人は、かなりムラのある指揮者ではないかという気がした。調子のいい時と悪い時があるというよりは、1つの曲の中での、いい部分と悪い部分の差が激しい。2時間かかるオペラなので、ある程度のムラはしょうがないけど、でも時々「オッ!」と耳をそばだてたくなる繊細な響きを聞かせてくれたかと思うと、あくびが出てくるぐらいテンションの低い部分や力任せの部分もあったりして、この人、名指揮者なのかどうかよく分からない。「この指揮者、確かにすごいかも」と思っても、それが長続きしないのである。確かに潜在的な能力は高いとは思うのだが…。彼はすでに何回かここで「炎の天使」を振っているはずなので、リハーサルの時間が足りなかったということはないはず。ソヒエフは同郷のゲルギエフに気に入られているらしいけれど、ゲルギエフの悪い面(時々あからさまに手を抜く)まで受けついで欲しくない。
もちろん「炎の天使」は難曲で、オーケストラピットに入ったオケと歌手のバランスが難しい。プロコフィエフの凝ったオーケストレーションを聞かせようとすると、歌手が聞こえなくなる。逆もまたしかり。オケを取りたければ交響曲第3番にするか、演奏会形式にするべきなのだろう。
演出は、日本でも話題になった山海塾のようなダンサーたちが活躍する、インパクトのあるもの。最後はしっかり「乱交」を見せてくれた(発売された映像は見ていないので、全く同一かどうかは分からない)。でも実は結構シンプルな舞台装置だなと思う。先月見た「使徒パウロの神秘劇」のお金の掛けようを、改めて思い知った次第。
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