2009年6月28日日曜日

タタルニコフの「3つのオレンジへの恋」

セルゲイ・プロコフィエフ 歌劇「3つのオレンジへの恋」

ミハイル・タタルニコフ指揮 マリインスキー劇場管弦楽団&合唱団ほか

6月27日 マリインスキー劇場 19:00~

プロコフィエフの「3つのオレンジへの恋」と言えば、もっぱら行進曲のみが知られている。2分にも満たない中にプロコフィエフのエッセンスが凝縮されているので、よく知られている(編曲も多い)のは尤もなのだが、今回全曲演奏に接して、行進曲ばかりが有名なのは惜しいと思った。全編、実にユーモアあふれる楽しい音楽なのだ。あらすじについては、こちらを参照。バレエにしてもよさそうなストーリーである。

演出も巧みだった。舞台上は意外と簡素で、むしろ客席から指揮者が登場したり、客席に散らばった合唱団が歌いだしたりと、空間をうまく使った生の舞台ならではの楽しみがあった。どうやら、日本公演でも同じような演出だったらしい。子どもに見せても喜びそうだ。

指揮はゲルギエフではなく、マリインスキーの若手、セルゲイ・タタルニコフ。だが「これがゲルギエフだったら」などという思いは、まったく抱かせなかった。プロフィールを見てみると、この人、もともと1999年からマリインスキーのファースト・ヴァイオリン奏者だったのだが、同時に指揮の勉強も続け、2006年にはマリインスキー劇場で指揮者デビューを果たしたらしい。だから指揮者としてはまだまだ駆け出しである。しかし、決して単純ではないと思われるプロコフィエフのオーケストレーションの面白さを十分オーケストラから引き出していて、行進曲など実にカッコ良かった。カーテンコールでも、この人が一番大きな拍手を受けていた。今後の活躍が楽しみである。日本のどっかのオケにも来てほしい。

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