2010年10月1日金曜日

スナイダーのマーラー

  1. ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番ハ長調 作品15
  2. グスタフ・マーラー:交響曲第1番ニ長調「巨人」
ニコライ・スナイダー指揮、マリインスキー劇場管弦楽団、サリム・アブド・アシュカル(ピアノ)
10月1日 マリインスキー・コンサートホール 19:00~

昨年11月にも、同じ顔ぶれの演奏会があった。前半がベートーヴェンのピアノ協奏曲というのまで一緒。後半も、前回はブルックナーだったのに対し、今回はマーラーと、プログラムの組み方が似ている。スナイダーは、6日にはメンデルスゾーンの「エリヤ」を振る予定で、実は大規模な作品が好きと見える。

マーラーの1番は、小学6年生の時に初めて耳にして以来、定期的に聞いてきた思いいれのある曲。にもかかわらず、なぜか今まで生で接する機会がなかった。他のマーラーの番号付きの交響曲は、すべて生で聞いているのに。一番ポピュラーな曲のはずなのに不思議。今回、念願かなってやっと聞くことができた。

ただ演奏のほうは、どう評価すればいいのか…。まず、ベートーヴェン、マーラーとも、きちんとリハーサルをした跡が窺え、その点は好感が持てた。マリインスキーのオケは、明らかに練習不足の時も多いのでなおさら。メンバーはゲルギエフが振る時によく見る顔ぶれで、技術的には問題なし。しかし、その結果出てきた音が、指揮者の情感を表現しきれているかというと疑問。特に今回は、ベートーヴェンにしろマーラーにしろ若書きの作品なので、もっとはじけるようなエネルギーが欲しい。

スナイダーはまだおそらく、オーケストラをヴァイオリンのように操れてないという気がした。聞いていて、スナイダーがどのような音楽づくりをしたいのか「理解」はできるのだが、直接こちらの情と結びつかない。アンサンブルを整えることはできても(バトンテクニックは、怪しいところがあるが)、そこに自分の「意志」を吹きこめるようになるには、もっと経験を積む必要があるのだろうと思う。それが簡単にできれば、苦労はしないのだが。

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