2009年11月17日火曜日

ゲルギエフのドイツ・レクイエム

  1. エドワード・エルガー:ヴァイオリン協奏曲ロ短調
  2. ヨハネス・ブラームス:ドイツ・レクイエム
ワレリー・ゲルギエフ指揮、マイインスキー劇場管弦楽団&合唱団、ニコライ・スナイダー(ヴァイオリン)ほか
11月17日 マリインスキー劇場コンサートホール 19:00~


ロシアでなぜかあんまり演奏されないのが、ブラームス。ソリストからの要望があるのか、協奏曲はまだ時々演奏されるが、意外なほどやらないのが交響曲。こちらに来て半年になるが、まだ一度も生で聞いていない。日本ではしょっちゅうブラームスの交響曲をやっている印象があるので、対照的な気がする。個人的にブラームスの交響曲は4曲とも大好きなので、ここのところちょっと欲求不満である。でも誰の指揮で、と言われると困るのだが。ゲルギエフ?テミルカーノフ?どっちもブラームスとは結びつかないなあ。

でもゲルギエフが何を思ったか、ブラームスのドイツ・レクイエムを取りあげてくれた。ヴェルディとベルリオーズのレクイエムに手をつけたので、次はブラームスとでも思ったのか(そして来年の6月には、ブリテンの戦争レクイエム!)。ゲルギエフ自体にはあまり期待していないけれど、ドイツ・レクイエムを生で聞ける機会もそう多いとは思えないので、行くことにした。

結果は可もなく不可もなくといったところか。マリインスキーによくあるパターンで、曲の良さは伝わったので大きな不満はないのだが、だからと言ってとても感動したとか、忘れがたいとか、そういうわけではない。やっぱり生で聞く合唱っていいよね、というレベル。ゲルギエフはこの曲を合唱主体の曲と捉えているのか(いや、その捉え方は間違っていないだろうけど)、今回はもっぱら合唱が前面に出てオーケストラは隠れ気味。合唱を聞きながら、ああいい曲だなあとは思ったものの、もう少しブラームスのオーケストレーションの面白さも活かせなかっただろうか。正直に告白すると、コンサート前に韓国料理店で食べすぎたせいか、聞いている最中睡魔に襲われて、時々うつらうつらしながら聞いていた。

ドイツ・レクイエムの前には、エルガーの大作(45分もかかる)ヴァイオリン協奏曲。ソリストは最近注目のニコライ・スナイダー。でもこの曲、初めて聞くので、スナイダーがどうこうという前に曲自体の印象のほうが勝ってしまう。ソロ・パートはものすごく難しいらしいけれど、パガニーニのような華やかさがあるわけではなく、チェロ協奏曲のように劇的というわけでもなく、実に渋い色調。おかげで、みんな弾きたがらない。

面白かったのは、第3楽章。弦楽器のちょっと変わったピチカートにのってソロ・ヴァイオリンが印象的な長いソロを奏でる。見たことないピチカートの仕方だったけど、あれはなんて言うのだろう。この部分、マリインスキーにしては珍しく、ソリストとともに緊張感のある音楽を作っていたような気がする。第2楽章の終わりも美しかった。いずれにしろこの曲、何度か聞けば楽しく聞けるようになるかもしれない。

以下、トリビア。
  1. なぜ今日は、ゲルギエフが普段と違って燕尾服を着ていた。
  2. 客席にアファナシエフが来ていた。

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