2009年11月14日土曜日

ヴォルコフの追っかけ~ペテルブルグでジャズを聞く。その2

今週の火曜日、またJFCに行った。今回聞きたかったのは、ベーシストのウラジーミル・ヴォルコフ率いるヴォルコフトリオ。ヴォルコフのほかに、ギターのスラヴァ・クラショフとドラムスのデニス・スラドケヴィチがいる。9月にmuch betterという彼らのアルバムを買ったらとても面白く、それ以来注目するようになった。このアルバムではいろんなミュージシャンをゲストに招いて、民族音楽とジャズの融合(フュージョン)みたいなことをしているが、今回は3人だけで、民族音楽的なことはあまりしていなかった。でも日本で言うところのフュージョン色があることには、変わりはない。

この日はギターのクラショフが最初から「トランス状態」で、演奏に没入していた。この人、この調子で最後まで持つのかなと思っていたら、人間より先に楽器のほうがくたばってしまい、休息後の演奏で、2曲続けて弦が切れるアクシデント。その場ですぐに弦を張り替えている間、残った2人が即興演奏でつないでいた。ここら辺のスリリングな臨機応変ぶりは、ジャズならではという感じがする。

休息時間に、家にあった彼らのCD2枚を持っていて、サインをお願いしたところ、たまたまそのうちの1枚が今では入手困難な彼らのファースト・アルバムだったらしく、「一体どこで手に入れたんだ!?」と驚かれた。これで気にいってくれたのか(そりゃ、東洋人がサインをお願いに来るなんて、珍しいだろうから)、ヴォルコフが見かけによらない甲高い声で「明後日A2というライブハウスでまた演奏するよ」と教えてくれた。

そこで木曜日、A2というライブハウスに行ってみたが、ここはもうジャズを通りこしてロック系の世界。日本ではロックのコンサートなんて見向きもしないのに、なんでロシアだと気軽に来てしまうのか自分でも不思議なのだが、「どうせどこに行っても異邦人だから」という意識が、フットワークを軽くしているのかもしれない。

この日はレオニード・フョードロフという歌手(兼ギター)とヴォルコフによるデュオ。ヴォルコフは時々ピアノも弾く。彼らのCDは実は火曜日に買っていたので、大体の雰囲気は想像できた。フョードロフの荒っぽいだみ声と、ヴォルコフの一筋縄ではいかないベースが、聞き手に絡みついてくる。ステージに向かって右側にノリのいい一団(?)が陣取っていて、よく曲名(?)を叫んでリクエストしていた。

ただちょっと参ったのは、開始時間。本来は夜の8時開始だったのが、なぜだかいつまでたっても始まらず、結局演奏が始まったのは8時55分。その間、なぜかアーティストの2人は端のVIP席で、ずっと女性たちと談笑していた。こちらは立ち見席だったので、待ちくたびれてしまったというのが正直なところ。ロシアで時間通りコンサートが始らないことはよくあるけど、さすがにこれは最長記録。

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