2010年2月7日日曜日

そしてもう一度ゲルギエフ~ショスタコーヴィチとマーラー

  1. ドミートリ・ショスタコーヴィチ:交響曲第2番ロ長調「十月革命に捧ぐ」
  2. グスタフ・マーラー:交響曲第6番イ短調「悲劇的」
ワレリー・ゲルギエフ指揮、マリインスキー劇場管弦楽団&合唱団
2月6日 マリインスキー・コンサートホール 19:00~


これだけ悪態をつきながら、1日に2回もゲルギエフの公演に行ってしまうということは「いやよいやよも好きのうち」ではないかという気もしてくるが…。

このコンサート、当初の予定ではショスタコーヴィチの代わりにシチェドリンのトランペット協奏曲をやる予定で、それなら別に聞きにいく必要もないかなと思っていたのだが、前日にマリインスキーのサイトを見てみると、ショスタコーヴィチの交響曲第2番に変わっている。こんな珍曲、滅多に聞けない!!そう、ゲルギエフはこちらが聞いてみたいと思っているレアな曲をよく取りあげてくれるのだ。演奏内容はともかく、この点はウマが合う。しかもチケット代もそんなに高くないことが多いし。日本円にして、1000~1500円ということが多い。

マリインスキー劇場でのバレエが終わったのが、6時半過ぎ。コンサートホールの舞台にゲルギエフが姿を現したのが、その1時間後。オーケストラのほうも、劇場でもお見かけした顔がチラホラ。チェロのトップの方、「シェヘラザード」でもソロを弾いていましたよね(笑)。しかも団員が入場する直前になって、弦楽器の配置をヴァイオリンが向かいあう両翼型に変更。プログラムに載っていたシチェドリンの「復活祭の響き」という曲もカット(さすがに、リハーサルの時間がなかったのだろうか)。直前までドタバタして大丈夫かと思っていたが、意外と聞ける演奏だった。

ショスタコーヴィチの2番は、ウルトラ・ポリフォニーと呼ばれる中間部がトレードマークのような曲だが、ハードスケジュールの中いつの間に練習したのか、ウルトラポリフォニーもちゃんとこないしている。恐るべきテクニック。でもこのコンビの長所が出ていたのは、むしろ後半の明るい部分。陳腐な曲想だが(そして思わずのけぞってしまう歌詞)、ゲルギエフとマリインスキーの演奏で聞くと輝かしく聞こえる。しかも曲の冒頭部のモチーフが後半にも出てきていることを上手く活かしていた。前半と後半の不整合が指摘されることがある曲だが、実は音楽として一貫性があるのだとゲルギエフは主張したいのではないのだろうか。こうした巧みさが、ゲルギエフの人気の所以か。マイクが多数設置されていたので、おそらくCD化するのだろう。

マーラーの6番も冒頭から気合十分で、先月の4番5番よりさらに良かったと思う。第3楽章など、木管の和声を浮かび上がらせて、これが19世紀的なロマンチシズムを引きずりつつ、そこからの決別も含んでいる曲だということを、実感させてくれた。ただこの曲に関しては、過去、ブーレーズ/マーラー・ユーゲント管、サロネン/フィルハーモニア管という名演に接しているので、その時に味わった熱気や緊張感と比べると、いささか分が悪い。リハーサルをせずにこれだけの完成度まで持っていけるのだから、もう少し公演を絞り込んで練りあげた演奏を聞かせてくれればさぞかし、と(今回に限らずいつも)思うのだが。

終わったのが10時近く。長い一日だった。

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