2010年2月9日火曜日

ゲルギエフのマーラー~7番編

  1. ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調
  2. グスタフ・マーラー:交響曲第7番ホ短調「夜の歌」
ワレリー・ゲルギエフ指揮、マリインスキー劇場管弦楽団、セルゲイ・ハチャトリアン(ヴァイオリン)
2月8日 マリインスキー・コンサートホール 19:00~

これもゲルギエフのマーラーが聞きたかったというより、とにかく「夜の歌」を一度生で聞いてみたかったという動機による。これで、マーラーの交響曲で生で聞いたことないのは、1番、大地の歌、未完の10番のみになった。一番ポピュラーなはずの1番を聞いていないのが、自分でも不思議だけど。

ただその前に、ハチャトリアンの弾くベートーヴェン。最近、なぜか若手のヴァイオリニストはベートーヴェンの協奏曲を弾きたがる。演奏会で出会う機会が多い。だが昨今の若手ヴァイオリニストにとっては技術的な難易度は高くないだろうが、聴衆を引き込むのは案外難しい曲ではないだろうか。特に長い第1楽章が難物。でもだからこそ挑戦しがいがあるのかも。自分が単に上手いだけのヴァイオリニストではないことをアピールするのには、ちょうどいい曲なのかもしれない。

ただ今回のハチャトリアンにしても、ものすごく腕がいいのは分かったが(とにかく音程の取り方が絶妙!)、やっぱり第1楽章でちょっと退屈してしまった。こちらの好みもあるが、こういう人には、まだショスタコーヴィチとかプロコフィエフとかのほうが似合いそう。ベートーヴェンやブラームスに挑むのは、もう少し演奏家として成熟してからでもいいのではないだろうか。

続いてマーラー。ゲルギエフのマーラーは最高とは言わないまでも、意外と彼のレパートリーの中ではいい線を行くことが分かってきたが、今回の7番もいい演奏だった。つまり、ゲルギエフ&マリインスキーにありがちな「明らかな練習不足」でもなく、かといって「何回も演奏しすぎてマンネリ化している」というわけでもなく、そこそこ練習していてマンネリ化もしていない水準なのである。CDとしては、バーンスタイン、クレンペラー、朝比奈(!)など個性的な名盤がひしめいていて、確かにそれらに比べると今日のゲルギエフの演奏はいささかインパクトが弱いが、生演奏の醍醐味はCDとは単純に比較できない(ゲルギエフの場合、その醍醐味がないときもあるのが問題だが)。第1楽章でコントラバスのソロが落っこちたりとかいった事故は散見されたものの、全体としてはマーラーの複雑なオーケストレイションがきちんと整理されていたし、ところどころ「オッ!!」と思うような斬新な響きも引きだしていた。

願わくば彼らがマンネリ化せず、より水準の高いマーラーを追及してくれることを…。

0 件のコメント: