2010年4月10日土曜日

マリインスキーの「トリスタンとイゾルデ」

  • リヒャルト・ワーグナー「トリスタンとイゾルデ」
ミハイル・タタールニコフ指揮、マリインスキー劇場管弦楽団&合唱団、レオニード・ザホジャエフ、オリガ・セルゲーエヴァほか
4月9日 マリインスキー劇場 18:00~


「トリスタンとイゾルデ」はとても思い入れのある作品。でも今ちょっと忙しいし、マリインスキー劇場のワーグナーてあまり期待できないので、パスしようかと思っていたら、マリインスキーの知人がなぜかチケットを押さえてくれた。好きな作品なので、せっかくなので行くか、面白くなかったら途中で帰ればいいしと、また不届きなことを考えながら、足を運んだ。

その結果だが、う~ん、なかなか言葉にするのは難しい。今週はゲルギエフを中心とした主力部隊がモスクワに行っているので、ペテルブルグに残っているオーケストラは(はっきりいって)「二軍」。ソロもアンサンブルも、結構音程があやしい。やっぱりこの曲、音程を正しく取るのが難しいのね。それにワーグナー特有のうねりに身を任せるには、もっと音に厚みが欲しい。歌手も、声量はそこそこあるものの(前のほうに座っていたのでそう感じたのかもしれないが)、ドイツ語の発音は怪しい。

と、いくらでも欠点を挙げられるにもかかわらず、なぜかそれほど退屈しなかった。音楽の緊張感が確保されていたから?結局、11時半の終演まで残ることに。音はちゃんと鳴っているはずなのに、しばしばうんざりさせられるゲルギエフとは対照的。もちろん一流の公演だったとは思わないし、疲れたけれど、その疲労感も含めワーグナーを聞いたという気にはなった。これが音楽の不思議なところ。

演出は、設定を現代に変えた以外は、(部分的に理解できなかったけど)それほど台本を大きく読みかえているわけではなかった。マルケ王は、現代の資本家か政治家といったところか?黒いスーツで身を固めた、不気味な一団を率いている。第二幕と第三幕の舞台は、おそらくホテルの一室。第二幕の有名な二重唱で、ひょっとしてと期待したが(笑)、特に肌を見せるということもなし。第一幕の船内も含め、内装がどことなくロシア風なのはご愛敬。意図したものか、図らずもそうなったのか。

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