2010年4月3日土曜日

ゲルギエフのブラームス特集

  1. ヨハネス・ブラームス:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調
  2. 同上:ドイツ・レクイエム
ワレリー・ゲルギエフ指揮、マリインスキー劇場管弦楽団、ネルソン・フレイレ(ピアノ)、スウェーデン放送合唱団、エリック・エリクソン室内合唱団
4月3日 マリインスキーコンサートホール 15:00


一昨日はマーラーの8番、昨日はワーグナーの「ローエングリン」を演奏会形式で全曲、今日は15時からブラームスを2曲やった後、19時からマーラーの9番(+ストラヴィンスキー)。明日からはモスクワで演奏会。売れっ子アーティストのスケジュールというのは、当然ぎっしり詰まっているものだが、その中でもゲルギエフのスケジュールはちょっと異常。しかもこの人の場合、おそらく自分で望んでこの異常なスケジュールを組みたてている。

当初はマーラーのほうに行こうかと思っていのだが、フレイレやスウェーデン放送合唱団という普段お目にかかれない人たちが来ると分かって、こちらを選んだ(さすがに両方聞きにいく体力は…)。同じ組み合わせで、明後日モスクワでもやるらしい。しかしマリインスキーの合唱団も結構レベルが高いのに、わざわざスウェーデン放送合唱団とエリック・エリクソン室内合唱団を呼ぶとは贅沢な。

私は2曲あるブラームスのピアノ協奏曲のうち、不器用だけれども熱く燃えあがる1番のほうが好きのだが、今回聞いてみて、2番もやっぱりいいなあと思った。実に輝かしいピアノの音色。ちょうど真ん中の席に座っていて、フレイレの手の動きがよく見える位置だったので、彼の美しい手の動きの印象と重なって、余計そう聞こえたのかもしれない。出だしのホルンソロがちょっと躓いたものの、全体的にはオーケストラも悪くない。特に第3楽章のチェロのソロは、ビブラートのかけ方、抑揚の付け方がベストで、ピアノソロと同じくらい聞きごたえがあった。

後半は合唱が期待通りの出来で、発音の明晰さ、ハーモニーの美しさが見事だった。フォルテッシモになっても、決して絶叫調にならない。ただこちらは、オーケストラの出来がイマイチ。緊張感が足りず、クライマックスとなる第6曲も盛りあがりに欠ける。ドラマチックな演奏をゲルギエフに期待してはいけないことはもう分かっているが、ドイツ・レクイエムのような曲となると、やっぱりどこかで劇的なものを期待せずにはいられない。

図らずも、ゲルギエフの得手不得手が出た演奏会だったような気がする。それとも単純に、無茶なスケジュールの影響か。

0 件のコメント: