2010年11月13日土曜日

人は生きる、草が茂るように…

  • ロストフ、トゥーラ、スタヴロポリ、ペルミ、スモレンスクなどの正教徒、旧教徒の讃美歌
ポクロフスキー・アンサンブル
11月11日 マリインスキー・コンサートホール 19:00~

今年の1月に、同じコンサートホールで聞いたポクロフスキー・アンサンブル。何!?この人たちと思いつつ、その正体不明の感じが愉しかった。今回はおそらくもっと「本領」に近い形で、讃美歌(песнопение)を歌ってくれた。ただ「讃美歌」と訳してみたものの、多くの日本人がイメージするような、親しみやすい歌とは違う。じゃあラフマニノフの「徹夜祷」のようなものをイメージすればいいのか。確かにエネルギーという点では通じるものもあるが、それでも「徹夜祷」ではこんな「だみ声」は出てこない。むしろストラヴィンスキーの「結婚」の世界に近い。

ポクロフスキー・アンサンブルについては、伊東信宏『中東欧音楽の回路』(岩波書店、2009年)の中の短いエッセイで触れられている。この中で伊東氏は「彼らは民謡に『成る』」(61頁)と言っているが、上手い表現だと思う。

今回歌われた曲の多くは、旧教徒のものらしい。だとすれば、「讃美歌」でありながら土俗的原始的(ストラヴィンスキー的?)であることも、納得できる気がする。

なお「人は生きる、草が茂るように…」というのは、たぶん歌われた歌の中の一節である。

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