2010年11月4日木曜日

ニコライ・オブホフって誰?

  1. アレクサンドル・スクリャービン:交響曲第3番ハ短調「神聖な詩」 作品43
  2. ニコライ・オブホフ:3番目にして最後の聖書 (ロシア初演)
アレクサンドル・ティトフ指揮、サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー管弦楽団ほか
11月4日 フィルハーモニー大ホール 19:00~

ロシアは今週いっぱい連休。というわけで、この機会に何か面白いコンサートないかなあと思ったら、あったあった。秘曲マニア(?)ティトフの振るコンサートが。ニコライ・オブホフって誰?しかも一緒にやるのがスクリャービンの「神聖な詩」とは。

スクリャービンは、「法悦の詩」は好きだけれども、他の曲はよく分からんというのが正直な感想。時々気分転換に、ピアノソナタの5番とか「プロメテウス」を聞くけど。「神聖な詩」は前に聞いたのがいつだったのか、忘れてしまった。

というわけで、50分近いこの曲を耐えきれるのか不安だったが、これがなかなか楽しめた。このオケが、チャイコフスキーやショスタコーヴィチを得意とするのは分かっていたけど、スクリャービンも良い。音色も歌い方も、ピッタリである。冒頭からトロンボーンとチューバが鳴りまくり。第3楽章はトランペットが鳴りまくりで、ロシアンブラスを堪能することができた。もちろんそれだけでなくて、弦や木管も魅力的だったが、インパクトとして大きかったのはバリバリ鳴る金管。弦や木管はともかく、ああいう馬力ある金管の音は、残念ながら日本のオケにはちょっと出せない。こうして聞いてみると、スクリャービンってロシアの作曲家だったのだなあということを、あらためて思い知った。

さて、後半のオブホフだが…。この人は1892年生まれ、1954年没で、青年期はモスクワで過ごし、ロシアで音楽教育を受けたものの、革命を機に亡命し、そのままフランスで生涯を終えた。シェーンベルクより先に12音技法を用いたことで、音楽史に名をとどめている(というか、日本語のウィキペディアの「十二音技法」のところに、この人の名前が出ていた)。

「3番目にして最後の聖書」は、1946年に書かれた大作。オーケストラに加えて、5人の歌手、2台のピアノ、オルガン(2人で弾く)、テルミン(!)を必要とする。時間は40分ほどだったか(ちゃんと計っていない)。

音楽は何と言えばいいのか…。スクリャービンと並べて演奏されたのは、スクリャービンの影響を受けたからで、確かに全体的には、「プロメテウス」に声楽とテルミンを加えて、もっと前衛的にしたような雰囲気である。でもオーケストレイションは、案外アイヴスに似ているんじゃないかという気も。いわば引用のないアイヴス?? 題名の示す通り、宗教的な内容の音楽だが、後半はテルミン協奏曲みたいになって怪しさ満点。耐えきれずに、途中退席する人も多かった。

名曲かどうかは(名演だったかどうかも含めて)分からないけど、でも場内に鳴り響いたテルミンは面白かった。こういう秘曲を聞くのは好きだ。

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