2010年7月14日水曜日

バランシンとフォーキン

  1. パウル・ヒンデミット:四つの気質
  2. ロベルト・シューマン:謝肉祭(オーケストラ編曲:ニコライ・R. コルサコフ、アレクサンドル・グラズノフほか)
ミハイル・アグレスト(1)、ミハイル・タタールニコフ(2)指揮、マリインスキー劇場管弦楽団
踊り:マクシム・ジュジン、イリーナ・ゴルブ、ラファエル・ムシンほか

7月13日 マリインスキー・コンサートホール 19:00~


ペテルブルグにはあるまじき、連日30度越えの日々。クーラーなどない建物が多いので、こうなると悲惨。扇風機を買いに行っても、とっくの昔に売り切れていたり。はやく気温が下がってほしい。天気予報によると、今週いっぱいこの暑さが続くらしいが。

こういうときは空調設備の整っているところへ…。だからというわけではないが、今日もマリインスキーのコンサートホールへ。珍しくコンサートホールでバレエ。お目当てはヒンデミットの四つの気質。この曲、好きなのだ。副題に「ピアノと弦楽合奏のための主題と変奏」とあるように、半ばピアノ協奏曲のようになっている。いかにも新古典主義的な曲で、メロディーも親しみやすく、ジャズっぽい和音も使われている。

有名な振付家、バランシンのために書かれた曲で、この日もバランシンの振付を採用。それを見てみると、なぜヒンデミットがピアノと弦楽合奏というシンプルな編成で曲を書いたかが、よく分かる。ダンサーは皆、練習時のようなレオタード姿。古典的なバレエの華やかさを拒否したような振付だけれども、人間の「肉体美」がそのままストレートに浮かびあがってくる(それにしても、ダンサーの足の長いこと!!)。今までバレエって、何回見てもピンとこなかったが(モーリス・ベジャールもローラン・プティも)、今回は違った。バレエという表現の世界に共感できたのは、これが初めてかもしれない。

次はシューマンの「謝肉祭」だけれども、もちろん原曲はピアノ曲。それを、R.コルサコフ、リャードフ、グラズノフ、N.チェレプニン、アレンスキーという、いわばR.コルサコフ一門の人たちがオケ用に編曲している。実を言うと原曲を聞いたことがないのだが、そんな人間にとってみれば、ちっともシューマンらしくない。最初から、打楽器が派手に鳴りまくる。グラズノフのバレエ音楽ですと言われれば、素直に信じてしまうだろう。

こちらはフォーキンの振付で、普通に華やか。それに、ヒンデミットでは荒かったオケの音色も、シューマンでは引き締まって聞こえた。指揮者(タタールニコフ)の手腕か。

暑さを忘れさせてくれたひと時だった。

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