2010年7月10日土曜日

ヤルヴィ(弟)を聞く

  1. ヤン・シベリウス:交響曲第7番ハ長調 作品105
  2. ピョートル・チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲 作品33
  3. アルヴォ・ペルト:チェロ協奏曲「賛と否」
  4. イーゴリ・ストラヴィンスキー:春の祭典
クリスチャン・ヤルヴィ指揮 バルティック・ユース・オーケストラ、ヤン・フォーグラー(チェロ)
7月8日 マリンスキー・コンサートホール 19:00~


マリインスキーのサイトにプログラムが発表された時から、これは行かねばと思っていたコンサート。ヤルヴィの弟とフォーグラーが同時に聞けてしまうとは。しかし案の定、客席は半分程度しか埋まっていない。知名度の問題か。

一番楽しめたのは、ペルトのチェロ協奏曲。チェロ協奏曲という割には10分程度しかなく、おまけになぜかヴィオラの出番がないが、充実した作品。ソ連体制下で様々な実験を試みていたころの作品らしく、時々激しい不協和音が鳴る。しかしそれがやみくもに鳴っているのではなく、指揮者の頭の中で「こう響くべき」という明確なプランがあり、その意図をオーケストラが上手く音にしている。

途中、チェロのカデンツァの部分で、指揮者が休止しているオーケストラに向かって棒を振る場面がある。文字通りの「空振り」だが、指揮という行為を戯画化しているようで可笑しい。ヤルヴィの動作がオーバーなものだから、フォーグラーも笑いをこらえながら弾いていた。この作品、他の指揮者でも見てみたい。

実は今回の一番のお目当ては「春の祭典」だった。ヤルヴィはこの複雑なリズムを楽しまないと損とばかりに、頻繁に足を跳ね上げ、腰を振る。この人にとって「春の祭典」とは、もはやお堅い「クラシック」の範疇を脱しているのではないか。ただ全体の興奮度としては、もう少し上があるような気がした。

というのも、その後のアンコールのほうが、オーケストラが吹っ切れていて気持ち良かったから。リラックスしている分、アンコールのほうが名演になるというのは、よくある話だが。曲目は分からないけれど(ロシアでは日本のように、アンコールの曲目を掲示してくれない)、1曲目はハチャトリアンぽく、2曲目はチャイコフスキーかR.コルサコフあたり?3曲目は、北欧あたりの民謡をオケ用に編曲したような雰囲気。ノリとして、こないだ聞いたシモン・ボリバル・ユースOに近いものを感じた。3曲もやったところをみると、拍手にこたえてというより、最初から入念に準備していたのだろう。

オケのメンバーは、バルト三国のみならず、北欧各地、ポーランド、ドイツ、ロシアから集まっていて、普通に上手い。大体PMFのオケと同じぐらいの技量だろうか。

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