2009年12月25日金曜日

ボロディン四重奏団の現在

  1. ニコライ・ミャスコフスキー:弦楽四重奏曲第13番イ短調
  2. ヨーゼフ・ハイドン:弦楽四重奏曲第42番ニ長調
  3. ピョートル・チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第2番ヘ長調
  4. 同上:アンダンテ・カンタービレ(アンコール)
ボロディン四重奏団
12月24日 フィルハーモニー小ホール 19:00~


ボロディン四重奏団と言えばソ連時代にロシアものの演奏でその名を世界に轟かせた団体であり、中でもショスタコーヴィチの全集の録音は、今やほとんど聖書扱いのような気がする。ただ今では古参のチェリスト、ベルリンスキーも亡くなってしまった。全盛期の勢いを取りもどすのは無理かもしれない。そうは言っても、聞いてもいないのに「ボロディン四重奏団は落ちたよね」などとしたり顔で話すのもおかしな話である。チケットも安かったし(200ルーブル)、聞きにいくことに。

よくある話だが、大して期待もせずに聞きにいくと、これが意外と良かったりする。今回もそう。往年の峻厳な雰囲気は求められないかもしれないが、でもやっぱりこの人たち上手い。特に面白かったのが、最初のミャスコフスキー。ミャスコフスキーについては、コンドラシン指揮の交響曲第6番のCDを持っているが、あまりピンとこなくて、他の曲は聞いていなかった。だが最後の弦楽四重奏曲は、もちろん初めて聞く曲だが、隠れた名曲ではないか思った。晩年のブラームスをモダンな感じにしたらこうなる、と言えばいいだろうか。もう一度聞きたいと思い、演奏会終了後、ソ連時代に録音されたタネーエフ四重奏団のCDを買ってかえったが、ボロディン四重奏団のほうが曲の20世紀的な側面というか、立体感を上手く描いていたと思う。ボロディン四重奏団の演奏で聞けば、この曲が好きになる人も増えるのではないだろうか。

残りのハイドンとチャイコフスキーも悪くはなかったが、やはりミャスコフスキーが大きな発見だった。あとは、アンコールのアンダンテ・カンタービレが、早めのテンポで一見あっさりしているようながら、でも実はしっかり歌っていて気にいった。

驚いたのは、小ホールなのに客が半分も入っていなかったこと。確かにプログラムはかなり渋いが…。ロシアでも、ボロディン四重奏団は過去のものなのだろうか。

2 件のコメント:

yusuke さんのコメント...

こんにちは。いつも面白く読んでます。
客入りですが、室内楽のコンサートだとプログラムに関わらずそんなもんだろうと思います。スター歌手の名前で売れるコンサートや親しみのあるピアノと違って、弦楽四重奏となるとかなりマニア向けジャンルっぽいです(あとあそこって小ホールにしては結構大きいですよね)。
私がよく聴いていたころのボロディン四重奏団はむしろベルリンスキーがちょっと浮いているような気がしたので、今の立体感のあるボロディンというのも興味深いです。

sachison さんのコメント...

ご教示、ありがとうございます。そういうことだったのですね。小ホールは、マイスキーが来たときのみ満席でしたが、あれって例外だったのですね。
ボロディン四重奏団にしろ旧レニングラード・フィルにしろ、ソ連時代と同じものを求めると肩透かしをくらいますが、曲目(+指揮者)によってはまだまだいい演奏を聞かせてくれるという気がします。