2009年12月20日日曜日

ムソルグスキーの美しさ~オペラ「ホヴァンシチナ」

  • モデスト・ムソルグスキー:歌劇「ホヴァンシチナ」
ワレリー・ゲルギエフ指揮、マリインスキー劇場管弦楽団&合唱団、オリガ・ボロディナほか
12月19日 マリンスキー劇場 18:00~


ゲルギエフの指揮ってもうあんまり期待できないなあ、でも「ホヴァンシチナ」は興味あるなあと迷った末、知人のロシア人(彼もあまりゲルギエフのことを評価していない)に意見を求めたところ、「『ホヴァンシチナ』は美しいオペラだからぜひ聞きなさい」と強く勧められた。別のロシア人もやはり、「ホヴァンシチナ」はとても美しいオペラよ、と言っていた。じゃあ、聞かないわけにはいかない。

でも実は、もともとムソルグスキーってそんなに得意な作曲家ではなく、代表作の「展覧会の絵」と「はげ山の一夜」を時々聞く程度だった。したがってムソルグスキーの曲が「美しい」と言われても、ピンとこなかった。この人はむしろ、ストラヴィンスキーを先取りしたような破天荒さがウリだと思っていたのである。

実際に聞いてみて、確かに美しいと思った。でもチャイコフスキーのような甘い美しさではなく、むしろ対照的なぐらい、純朴な感じである。これはこれで、「ロシア的」と言えるかもしれない。また衣装がとても綺麗だったうえ、第1幕では本物の白馬まで登場。視覚的にも楽しめた。

しかしストーリーをちゃんと予習せずに、この長丁場のオペラにつきあうのはきつかったなあ。午後6時過ぎに始まって、2回の休憩をはさみ、終わったのが11時頃だから。美しい部分が多いのは確かだが、逆に言うと「はげ山」よろしく劇的に盛りあがる個所が少ないのである。ストーリーをちゃんと追わないと、単調に聞こえる。おまけにまだ時差ボケが残っていたらしく、17日に続き客席で激しい睡魔に襲われた。もっといい体調で臨めば、もっといろいろな発見があったかも。

演奏は、いつもの通りちゃんと鳴っていたものの、それ以上のものではない。トランペット奏者とか、ピットで退屈そうに出番を待っているのが丸見えだった。歌手や合唱は総じて上出来だったように思う。

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