2009年12月9日水曜日

リュビモフのシューベルト~教え子とのピアノ・デュオ

  1. フランツ・シューベルト:性格的行進曲第2番 ハ長調
  2. 同上:即興曲第2番変 イ長調、同第4番 ヘ短調(リュビモフのソロ)
  3. 同上:アレグロ イ短調「人生の嵐」
  4. 同上:華麗なるロンド イ長調
  5. 同上:舞曲集(グロツのソロ)
  6. 同上:ハンガリー風ディヴェルティメント ト短調
  7. 同上:性格的行進曲第2番 ハ長調
アレクセイ・リュビモフ、アレクセイ・グロツ(ピアノ)
12月8日 フィルハーモニー小ホール 19:00~


シューベルトって気にはなるのだが、今のところやや縁遠い存在である。彼が書きまくったリートという形式に、あまり馴染んでいないせいだと思う。でもこの人が晩年の弦楽四重奏とかで見せる暗さは気になる。それに、ベリオ、ツェエンダーといった現代の作曲家たちがシューベルトの作品を基にした作品を残している。また以前、前衛ピアニスト向井山朋子のコンサートを聞きに行った時、彼女もシューベルトの即興曲と街の「ノイズ」を組みあわせるというパフォーマンスを行っていた。最先端の実験を行っている音楽家を惹きつける何かが、シューベルトにはあるらしい。

今日の演奏家、アレクセイ・リュビモフも、ロシアで最も早くシェーンベルクを手掛けた人。70年代に彼が録音したシェーンベルクのCDを持っているが、切れ味のいい名演だと思う。ただそれだけでなく、この人はちゃんとモーツァルトのピアノ・ソナタ全集とかも録音している。もう一人のグロツという人は知らなかったが、まだ21歳という若手。モスクワ音楽院で、リュビモフにも師事しているらしい。いわば師弟の協演といったところか。グロツがリュビモフに位負けするかと思ったが、決してそんなことはなく、結構渡りあっていた。

どれもこれも聞いたことのない曲ばかりなので、曲と演奏に対する感想がごちゃ混ぜになっているが(シューベルトをほとんど聞いていないということが、よく分かる)、印象に残ったのは「人生の嵐」とディヴェルティメント。「人生の嵐」って、何かの交響曲の楽章ではないかと思うほど、響がシンフォニック。誰か管弦楽に編曲してほしい。でも演奏が一番充実していたのはディヴェルティメント。明らかに演奏者の集中力が最高潮。ディヴェルティメントとはいえ、哀愁を感じさせる曲であり、演奏だった。

最後に、アンコールのリストの曲を聞いていた際、ふと「次はドビュッシーのピアノ曲を生で聞きたいな」と思った。最近やっと、生のピアノの音の魅力が分かりだしたような気がする。

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