- ベンジャミン・ブリテン:歌劇「夏の夜の夢」
パーヴェル・スメルコフ指揮、マリンスキー劇場管弦楽団、アルチョーム・クルティコ(オベロン、カウンターテナー)、オリガ・トリフォノファ(タイターニア、ソプラノ)、アレクセイ・ソルダトフ(パック)、ウイラード・ホワイト(ボトム、バス・バリトン)ほか
3月21日 マリインスキー劇場コンサートホール 19:00~
タイトルからいけば季節はずれなのだろうが、マリンスキー劇場でブリテンの「夏の夜の夢」を見る。今のロシアはちょうど雪が解けだし、冬から春に変わろうとしている季節。おかげで道はぬかるみ歩きにくいことこの上ないが、長い冬を経た後だとちょっと嬉しくなる。そのことは以前住んでいた時に感じた。
今回はまず演出が素晴らしかった。薄暗い照明の中、ワイヤーを利用して白い妖精たちが飛びまわる。派手すぎない演出が曲の雰囲気に合っていた。
歌手の中で特に気に入ったのはタイターニア役のトリフォノファ。美しいよく通る声で妖精の女王を歌い上げていた。ウイラード・ホワイトも当然うまかったけど、この人ならもっとうまくできるのではなかろうかという気もする。それ以外だと、パック役のアレクセイ・ソルダトフがまさしく狂言回しという感じで印象に残った。
一方、オケのほうは未消化の印象が強かった。ブリテンの凝った管弦楽法がなかなか再現されない。音と音の間に隙間風が吹いている。そう、マリインスキーって音は並ぶのだけどなあと思いつつ、全曲聞いた。
実はこの日の演目、本当はゲルギエフが振るはずだった。ところがカーテンコールで登場したのはスメルコフ。確かにオーケストラピットから見えていた頭には髪の毛があったし(笑)、手の動かし方もいつもと違うと思っていたが。あれ、なんで?ゲルギエフが珍しく病欠?
翌日、さる劇場の関係者に話を聞くと、リハーサルまではゲルギエフがやったものの、突然「オレ振らない」と言いだし、スメルコフを電話で呼びだしたそうな。スメルコフがこの曲を知っているとはいえ、そんなのありかよ。
<追記>
休憩時間、ロビーでチェチーリア・バルトリを目撃。失礼を顧みず、おおこれがあのバルトリか、と見入ってしまった。もちろんすぐに、ファンの人たちがサインをねだりに集まってきた。
22日は同じ会場でバルトリのリサイタルがあった。1席5000~6000ルーブルにもかかわらず、ほぼ完売。さすが。ただし20日にあったリハーサルの際、ゲルギエフは2時間遅刻して、その間、やっぱりスメルコフが代役を務めたそうである。こちらも「さすが」。
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