- アルバン・ベルク:ヴァイオリン協奏曲
- リヒャルト・シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」 作品40
ワレリー・ゲルギエフ指揮、マリインスキー劇場管弦楽団、ライナー・ホーネック(ヴァイオリン)
3月17日 マリインスキーコンサートホール 19:00~
ロシアでも地震、津波、原発のことが大きく報道されて、いろんなロシア人から「あなたの親戚は大丈夫だったの?」と聞かれた。幸い、親戚に犠牲者は出なかったが…。こういう大災害の後だと、今日のプログラムが生と死の対比のように思えてくる。演奏する団員のほうは、さぞかし大変だろうが。案の定、開演時間の19時になっても、まだ会場に入れず、「英雄の生涯」を練習している音が聞こえていた。結局、20分ほど遅れてスタート。
ベルクは、昨秋にフィルハーモニーで聞いた演奏よりも、ずっと良かった。あの時予想した通り、こういう曲はフィルハーモニーよりもマリインスキー(というかゲルギエフ)のほうが上手い。ゲルギエフはこういう複雑な曲を上手に整理する。またライナー・ホーネックのヴァイオリンが、いい意味で「甘い」。ベルクがウィーンの作曲家だということを認識させられた。3拍子のリズムが、オーケストラともどもまさしくワルツとして響く。
一方、「英雄の生涯」のほうは、先週聞いた「ナクソス島のアリアドネ」と同じ感想。こんな重量級のプログラムにもかかわらず、オーケストラがちゃんと練習してきたのは誉めたいけれど、何か物足りない。ここには、さっきあったはずの「甘さ」がない。陶酔できない。ああ、なんで。音は並んでいるはずなのに。
考えてみると、今日がゲルギエフを聞く最後の機会だったかもしれない。この2年間、いろいろな演奏を聞かせてくれた人で、手放しで誉めることはできないが、これだけ多く接すると、名演も駄演もひっくるめて、大切な思い出のような気がしてくる。
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