2011年2月6日日曜日

ショパン・コンクール入賞者のコンサート(1)~ダニール・トリフォノフ

  1. ヨーゼフ・ハイドン:ピアノ・ソナタ第56番ニ長調、Hob. XVI:42
  2. アレクサンドル・スクリャービン:ピアノ・ソナタ第3番嬰ヘ短調、作品23
  3. ヨハン・セバスチャン・バッハ(セルゲイ・ラフマニノフ編):無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータホ長調よりプレリュード、ガヴォット、ジーグ
  4. セルゲイ・プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第3番イ短調、作品28
  5. フレデリック・ショパン:マズルカ風ロンドヘ長調、作品5
  6. 同上:3つのマズルカ、作品56
  7. 同上:ピアノ・ソナタ第3番ロ短調、作品58
ダニール・トリフォノフ(ピアノ)
2月6日 マリインスキー・コンサートホール 19:00~

昨年のショパン・コンクールの入賞者のうち、5位のフランソワ・デュモンを除く5人がマリインスキーのコンサートホールでリサイタルを行う。さすがに全員聞きにいっている余裕はないけど(そもそもショパンって、そんなに好きな作曲家でもないし)、何しろ全席250ルーブルという破格の安さなので、これを逃す手もない。とりあえず3人選んだ。

今日は初日。第3位のダニール・トリフォノフ。1991年、ニジニ・ノヴゴロド生まれ。顔にはまだあどけなさが残る。他のピアニストがショパンづくしのプログラムを組み中、一人いろいろな作曲家を取り上げた(だから聞きにいったのだが)。

最初はハイドン。実はハイドンのピアノ・ソナタって、CDも含めて聞くのが初めて…。お、いいかも。意外と華麗だ。と言っても、初めて聞くので演奏の魅力と曲の魅力の区別がつかない。ひょっとしたらハイドンにしてはモダンすぎるのではないかという思いも抱いたが、まあ大した不満ではない。

その後、スクリャービン、ラフマニノフ編曲のバッハ、プロコフィエフ、休息をはさんでショパンと聞いて、この人、かなりの技巧派だということが分かった。素人の耳には、ほとんどミスタッチが聞き取れない。対位法の描き方も上手くて、曲が立体的に感じられる。圧巻だったのはプロコフィエフ。若き日の作曲者の遊び心がこちらまで伝わってくる。プロコフィエフらしいモダンな和音、リズムと抒情的な美しさの対比が見事に描かれていた。

スクリャービンとショパンのソナタに関しては、もう少し暗いドロドロしたものも欲しいが、でもまだ20歳なのだから、そういう「難しいこと」を言ってもしょうがないという気がする。むしろプロコフィエフみたいな曲をじゃんじゃん弾いて 思いっきりピアノで遊んで欲しい。ハイドンを最初に持ってきたのは、自分は技巧だけのピアニストではないということを、誇示したかったからかもしれないが。

アンコールでリストのラ・カンパネラを弾いていたけど、これも全く危なげなし。う~ん、有名な国際コンクールの上位入賞者になると、これぐらいは楽に弾けてしまうのだなあ。よく考えてみれば、国際コンクールの入賞者の演奏を、コンクールが終わって間もない段階で聞くのは、これが初めてだったかも。

2 件のコメント:

SONOMI NISHIZAWA さんのコメント...

ダニイル君の記事を書いてくださって、ありがとうございます!
私は日本で、ほとんど同じプログラムを聴きました。日本では、彼が作曲したラフマニアーナという曲もプログラムにあり、彼の音楽的才能を
感じました。
将来がとっても楽しみなピアニストです♪

sachison さんのコメント...

彼、作曲もするんですね。
「名ピアニスト」になるための基礎的な力はあるみたいなので、ぜひこのまま成長してほしいです。個人的には、プロコフィエフの他のソナタや協奏曲を聞いてみたい!