- フレデリック・ショパン:24の練習曲 作品10と作品25
- フランツ・リスト:ピアノ・ソナタロ短調
ルーカス・ゲニューシャス(ピアノ)
2月22日 マリインスキー・コンサートホール 19:00~
まあ何と挑戦的なプログラムだろうと思った。前半でショパンの練習曲を24曲すべて弾き、後半でリストのソナタを弾くとは。と言っても正直に告白すると、「別れの曲」だとか「革命」だとか有名なやつをのぞいて、練習曲集もソナタもまともに聞いたことがないのである、私は。オタクって部分部分は専門家も顔負けの知識を持っているが、知識の偏り方がはなはだしい。
でもとりあえず行ったコンサートの感想を一通り書き留めておくという義務を自分に課しているので、思ったところを書いておくと、意外と演奏は地味。もっと「どうだ、オレって上手いだろう!!」というハデハデな演奏をするかと警戒/期待していたのだが、杞憂/不発だった。「別れの曲」なんてもっと情緒たっぷり、「革命」なんてもっと劇的にやってもよさそうなのに、割と淡白。他人がつけた標題をはぎ取り、あくまでも「練習曲」として弾く。だが演奏は徐々に熱を帯びてきて、最後のほうの数曲は確かにのっているのが分かった。
リストも同傾向の演奏だったような気がするが、初めて聞く曲でしかも30分ぶっ続けの大作なので、何ともいいがたい。特に大きな不満はなくて、リストのソナタってまた聞いてみたいと思った、という程度。曲を熟知している人ならば、いろいろな感想が浮かぶだろうけど。
むしろ印象に残っているのは、彼が舞台に姿を現した時の様子で、まるで気負ったところがなく、オーラもなく、まるで普通の若者。街を歩いている普通のお兄ちゃんが、コンサートホールにさ迷いこんでしまったという感じだった。その飄々とした雰囲気が面白い。
0 件のコメント:
コメントを投稿