2011年2月15日火曜日

ショパン・コンクール入賞者のコンサート(2)~ユリアンナ・アヴデーエワ

  1. フレデリック・ショパン:スケルツォ第3番嬰ハ短調 作品39
  2. 同上:2つの夜想曲 作品27(第1番嬰ハ短調、第2番変ニ長調)
  3. 同上:ピアノ・ソナタ第2番変ロ短調 作品35
  4. 同上:4つのマズルカ 作品30(第1番ハ短調、第2番ロ短調、第3番変ニ長調、第4番嬰ハ短調)
  5. 同上:スケルツォ第4番ホ長調 作品54
  6. 夜想曲ロ長調 作品62-1
  7. 幻想ポロネーズ変イ長調 作品61
ユリアンナ・アヴデーエア(ピアノ)
2月15日 マリインスキーコンサートホール 19:00~

最初のうち「なんでこの人がショパン・コンクールで1位を取ったのだろう?」と疑問に思いながら聞いていた。技巧的な華やかさでは、先日聞いたトリフォノフのほうが上。彼のほうがピアノをよく鳴らしていたし、タッチも柔らかく、色彩感も豊か。

が、聞いているうちに何やらじわじわと彼女の紡ぐショパンのメロディが体に染みてきた。演奏には常に陰りがあって、長調の曲も短調に聞こえる。寂しく、不安なショパン。外見は地味なため、ともすれば一本調子な気もするが、でも何やら抗しがたい魅力がある。その意味でも、先日のトリフォノフとは対照的。あの時はなかった「暗いもの」が今日はあった。

たぶんアヴデーエアの演奏は、好き嫌いがはっきり分かれるだろう。もっと華やかなショパンを楽しみたい人、気軽にショパンを聞きたい人はいっぱいいるだろうし、そんな人に彼女の演奏は向かないかもしれない。でも好きな人はものすごく喜ぶと思う。

家でこのブログを書きながら、プログラムが調性的にもよく考えられていることが分かった。嬰ハ短調のスケルツォから同じ調の夜想曲に飛んで、2番の変ニ長調とソナタのロ短調は同じフラット5つ。その後休息ははさんで、マズルカを4つ演奏したが、マズルカ第4番の嬰ハ短調とスケルツォのホ長調は同じシャープ4つ。続いてシャープが1つ増えたロ長調の夜想曲。最後の変イ長調は一見遠そうだけれども、シャープ5つをひっくり返してフラット7つにすれば変イ短調になるから、これもつながっている。

さすがに1位だけあって、今日の会場はほぼ満員。しかもマリインスキーのホームページでコンサートの生中継をする力の入れよう。この人、これからどのように受け入れられていくだろう。見ものだ。

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