2011年1月5日水曜日

コパチンスカヤ+モスクワ・アート・トリオ+ボレイコ+ベルンSO

  1. ゲオールギ・スヴィリドフ:「吹雪」よりトロイカ
  2. エフレム・ジンバリスト:オペラ「金鶏」に基づく幻想曲
  3. ピョートル・チャイコフスキー:組曲「くるみ割り人形」より花のワルツ
  4. 同上:ワルツ=スケルツォ
  5. ミハイル・アルぺリン:忘れられた客人のアリア
  6. 同上:序奏とウィーン変奏曲
  7. ニコライ・リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェヘラザード」
アンドレイ・ボレイコ指揮、ベルン交響楽団、パトリチア・コパチンスカヤ(ヴァイオリン)、モスクワ・アート・トリオ(ミハイル・アルぺリン、セルゲイ・スタロスチン、アルカージ・シルクローパー)
1月2日 カルチャー・カジノ(ベルン) 17:00~

正月休みを利用して聞きたかったのは、このコンサート。ロシアを去る前にもう一度コパチンスカヤに会いに行こうとは決めていたが、何と彼女に加えてモスクワ・アート・トリオまで出演する。これぞ夢の共演!!誰だ、こんな嬉しい企画を考えてくれたのは!?

前半は、コパチンスカヤとモスクワ・アート・トリオが主役。金鶏幻想曲はワックスマンやサラ=サーテのカルメン幻想曲をそのまま金鶏に置き換えたような曲で、超絶技巧で遊んでみせる曲。チャイコフスキーのワルツ=スケルツォでもそうだったが、コパチンスカヤはゲネラルパウゼでわざと音楽を止め、表情で遊んでみせる。この人、シリアスなパフォーマンスだけでなく、大道芸的な芝居もできる人だ。

前半最後の2曲は、モスクワ・アート・トリオのリーダー、アルペリンが書いた曲。単純なオーケストレーションと活躍するソリストの対比は、ショパンの協奏曲を聞いているようでもあり、執拗なワンパターンのリズムから民族色がにじみ出てくるあたりは、伊福部昭を思わせる。

しかし圧巻だったのはアンコール。シルクローパーの吹くアルペンホルンに合わせてコパチンスカヤが舞台裏から登場し(ベルン交響楽団の首席ベース奏者が後ろからついてきた)、みんなで丁々発止のやり取り。出た、夢の共演!!そう、コパチンスカヤは即興演奏もできるんだ。最初はモスクワ・アート・トリオに戸惑っていたようだった客席も、最後は湧いていた。

さて、前半を聞いた段階では、ボレイコとベルン交響楽団は伴奏という感じで、あまり冴えなかった。ところが休息後の「シェヘラザード」になると、「今度はおれたちが主役だ」とばかりに、さっきとは打って変わって目の覚めるのような音楽を奏でる。コンマス・ソロはそれほど上手くなかったが(というか、コパチンスカヤの後に弾くなんて…)、オーケストラとしての一体感は素晴らしい。第4楽章の難破の場面におけるカタルシスなど、オーケストラを聞く醍醐味だと思う。前半だけだと、ボレイコもベルン交響楽団も見くびるところだったが、後半で見なおした。それにしてもネルソンスといいボレイコといい、次々と「期待の新人」が出てくるから、この業界も大変だなと思う。

<余談>
日本人かどうかは分からないけど、チューリヒ・トーンハレといいベルン交響楽団といい、東アジア系の顔が多い。そういう時代なんだ。

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