- ヨハン・セバスチャン・バッハ:ミサ曲ロ短調
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮、コレギウム・ヴォカーレ
9月5日 カペラ 19:00~
マリインスキーもフィルハーモニーも、まだシーズンは開幕していないが、一足早く古楽フェスティヴァルが開幕。その演奏会がこれ。何とヘレヴェッヘとコレギウム・ヴォカーレで、バッハのミサ曲ロ短調。会場はカペラ。それほど広いホールではないが、ほぼ満席。
実を言うと、ロ短調ミサ曲って、それほどよく聞く曲ではない。一曲一曲はいいと思うのだが、あまり通して聞こうとは思わない。同じバッハの宗教曲でも、マタイはよく聞けど。マタイにはドラマチックなストーリーがあるからだろうか?
したがって、演奏の評価も難しい。悪くはなかったが、というところに落ち着いてしまう。合唱は全部で17名。ソロパートは、合唱団員が前に出てきて歌う。バスがやや不安定だったが、他は総じて上出来。特にテノールの柔らかく明るい声は良かった。オケも少人数なのに、弱さを感じさせない。だが、現代の進歩した古楽アンサンブルならば、この水準の演奏は出来て当然という気もする。
この日のコンサートで印象に残ったのは、むしろ聴衆の反応。ロシアでは楽章間で拍手が起こることも珍しくないが、今回は決して曲の合間に拍手をしようとしなかった。また全曲が終わった後も、指揮者が手を下すのを待ってから拍手をするというマナーの良さ。携帯も鳴らなかったわけではないが、演奏の大きな妨げにはなっていない。
しかし演奏後は熱狂的なスタンディングオベーションで、何度もヘレヴェッヘを舞台に呼び出した末、オーケストラが舞台裏に引っ込みはじめてもまだ熱烈な拍手が続くものだから、とうとうオーケストラが舞台に戻ってきて終曲をもう一度演奏するという、異例の展開になった。これこそが真のアンコール?
そういえば、4月にレオンハルトの演奏を聞きに行った時も、聴衆の拍手がハンパではなかった。もしかしてロシアにも、コアな古楽ファンが一定数存在するのだろうか。
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