2009年8月24日月曜日

サンクトペテルブルグ・アカデミー・バレエの「ロメオとジュリエット」

セルゲイ・プロコフィエフ バレエ「ロメオとジュリエット」

サンクトペテルブルグ・アカデミー・バレエ団

8月21日 アレクサンドリンスキー劇場 20:00~

日本では「サンクトペテルブルグ・アカデミー・バレエ」と呼ばれているようだが、こちらでは「ヤコブソン・バレエбалет Якобсона」という呼び名が一般的なようである。確かに、こちらには「アカデミー~」っていっぱいあるから、固有名詞をつけてくれたほうが分かりやすい。

バレエの「ロメオとジュリエット」は、2001年に大阪で見たことがある。ロストロポーヴィチの指揮で、「オーケストラル・バレエ」と銘打って舞台の真中にオーケストラ(新日フィル)が位置し、その周りでダンサーが踊るというものだった。バレエ団はリトアニア国立バレエ。なんでこんなことをしたかというと、ロストロポーヴィチはオーケストラをバレエの伴奏ではなく、バレエと同等の扱いにしたかったということ。彼によれば、作曲者のプロコフィエフもそれを望んでいたとか。今思いかえしてみれば、これが生のロストロポーヴィチを見た最初で最後の機会だった。結局、彼のチェロは聞くことができず。残念。

「ロストロポーヴィチの証言」って、実はあんまりあてにならないことが指摘されているので、本当にプロコフィエフがそんなことを言ったのかどうかは分からないけれど、でも楽しい舞台だった。やっぱり私は、バレエそのものよりもオーケストラに興味があるから。ところが今回の舞台は、それとは対照的。バレエが主役でオーケストラは伴奏。まあこれが普通なのだろうが、おかげで今頃になってロストロポーヴィチが何をしたかったのか、はっきりと理解できた感じ。

今回はまずオーケストラ(バレエ団の付属?)がヘタクソ。アマオケレベル。いや、日本のアマオケの中にはここよりもっと上手いところがたくさんある。おまけに今回の会場、もともと演劇用の劇場なので、音が全然響かない。ほとんど体育館状態。

でもバレエは確かに上手かった。あれこれ論じる語彙は持ちあわせていないけど、ジュリエット役のダンサーなど小柄な体で可憐に踊り、本当に「少女ジュリエット」という感じだった。それに比べると、ロメオのほうは少し立派過ぎたかも。全体としては、場面によってクラシック・バレエとモダン・バレエを上手く使いわけている感じで、いわば具象と抽象がまじりあい、刺激的だった。

でもやっぱり、オーケストラもしっかり鳴ってくれたほうが良いに決まっているわけで…。こうしてみると、バレエ団が優れているだけでなく、オーケストラの技術もしっかりしているマリインスキー劇場って、贅沢なところなのだなあと思えてくる。

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