2009年8月7日金曜日

マリインスキー劇場の「イェヌーファ」

レオシュ・ヤナーチェク 歌劇「イェヌーファ」

ラリーサ・ゴゴレフスカヤ、イリーナ・マタエヴァ、アレクサンダー・ティムチェンコほか

ガブリエル・ゲイネ指揮、マリインスキー劇場管弦楽団&合唱団

8月6日 マリインスキー劇場 19:00~

「白夜のスター」音楽祭が終わったのに、なんで8月10日までマリインスキー劇場を稼働させるかというと、8月は外からやってくる観光客が多いので、その人たち向けという側面があるのだと思う。実際、この時期の演目は「蝶々夫人」「ジゼル」「バフチサライの泉」など、一般受けしそうなものが多いが、その中で浮いているのがヤナーチェクの「イェヌーファ」。一番高い席でも600ルーブルという安さなのに、足を運んでみると結構空席が目立つ。やっぱりヤナーチェクって、マニアにはともかく、一般の人たちにはまだまだ受けいれられていないのかなあ。日本では最近、村上春樹が最新作『1Q84』(未読)で言及してくれたおかげで、ちょっとだけ有名になったのかもしれないけど。あるいは、「日本ヤナーチェク友の会」なんてものがあるぐらいだから、日本ではまだポピュラーなほうなのかもしれないと思ったりもする。

私にとってヤナーチェクは「大好き」というわけではないが、なんか気になる作曲家である。突っかかるような独特のリズムに、全面的に共感できるわけではないけれども、いつも最後は曲の持つエネルギーというか情念に押しながされる。少なくとも、ヴェルディやプッチーニよりはずっと共感しやすい。「イェヌーファ」を生で聞くのは初めてだが、改めてそのことを確認した。要するにこういう音楽が好きなのだなと。オペラといっても、イタリア・オペラのように名歌手がその美声を披露するものとは全く違う。(いい意味で)洗練されていない、土臭さがある。

歌手たちのチェコ語の発音がどの程度正確だったかは、もちろん分からない。ところどころ苦労しているようだったが、同じスラブ語系のせいか、全体としてはそんなに問題を感じなかった。そして最近お疲れ気味の演奏が多かったオーケストラが、意外と生気みなぎる演奏を披露してくれていて良かった。指揮者の手柄?他のヤナーチェクのオペラも見てみたい。残念ながら、そう簡単には巡りあえないだろうけど。

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