2009年7月1日水曜日

ミーシャ・マイスキーとニコライ・アレクセーエフ

マックス・ブルッフ 「コル・ニドライ」

エルネスト・ブロッホ ヘブライ狂詩曲「シェロモ」

ピョートル・チャイコフスキー 交響曲第4番へ短調

ミーシャ・マイスキー(チェロ)ニコライ・アレクセーエフ指揮 サンクト・ペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団

6月30日 フィルハーモニー大ホール 19:00~

今度はマイスキーを初体験。そのマイスキーが出てくる前半は、「ユダヤ」を意識したと思われるちょっと濃い目のプログラム。そして演奏自体も濃いなあ。いや、「濃い」というのは不正確かもしれない。彼のチェロの音はむしろ「弱い」と言っていいぐらいなのだが、でも音色に独特の美しさがある。レースのような透明感、とでも言えばいいのだろうか。それとも、羽毛のような柔らかさと言ったほうがいいかも。したがって「シェロモ」などはいささか物足りなかったが(というのも、私はシュタルケルの剛毅な演奏でこの曲を覚えているので)、アンコールの小品はとても良かった(残念ながら曲目は不明)。この人、協奏曲よりも室内楽向きではないか。それもソナタより、アンコール・ピースのような小品向き。アンコールの2曲目として、バッハの無伴奏チェロ組曲第1番のプレリュードを演奏していたが、テンポが揺れまくる演奏だった。正直、あまり好みのタイプのバッハではないのだが、独自のものを持っていることは確かだ。

後半は、常任指揮者のアレクセーエフによるチャイコフスキーの交響曲第4番。それほど期待していたわけではないのだが、こういう演奏が実は結構楽しめたりする。聞きながら、ムラヴィンスキーの有名な録音が頭をよぎらなかったと言えばウソになるが、でも十分楽しめた。なんだかラフマニノフの時と矛盾する感想だが。たぶんウィーン・フィルのウィンナ・ワルツみたいなもので、このオケのチャイコフスキーというのは、否が応でも一定水準に達してしまうのかもしれない。いや、テミルカーノフの時の5番より良かったかも。テミルカーノフとは対照的に、それほどテンポは揺らさないストレートな演奏。ムラヴィンスキーの鋭さはなくても、響は十分充実していた。

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