2011年4月16日土曜日

アンスネス in St. Petersburg

  1. ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン:ピアノソナタ第21番ハ長調 作品53 「ワルトシュタイン」
  2. ヨハネス・ブラームス:4つのバラード 作品10
  3. アーノルド・シェーンベルク:6つの小品 作品19
  4. ベートーヴェン:ピアノソナタ第32番ハ短調 作品111
レイフ・オヴェ・アンスネス(ピアノ)
4月16日 マリインスキーコンサートホール 19:00~

今をときめくピアニスト、アンスネスとのコンサートがわずか400ルーブル(一番高い席で!)で聞けてしまう。にもかかわらず、空席がある。ありえない、日本ではありえないことである。実は4作品とも、個人的にはそんなに馴染みのある曲ではないが、凝ったプログラムだと思う。両端にベートーヴェンを配し、ドイツのピアノ音楽の系譜を旅するといった趣か。帰宅後調べてみると、実は4曲ともアンスネスは録音していないようだ。アンスネスが未だにベートーヴェンをまったく録音していないというのは意外だった。

さて演奏だが、「ワルトシュタイン」(なぜかロシアでは「オーロラ」というあだ名が付けられているらしい)の冒頭からして快調。でも、特にこれといった特徴は感じなかった。「お、これは!」と思ったのは、第3楽章に入ってから。「泉が湧きでるように」という形容がぴったりの、流れるような音楽。素晴らしい!

ブラームスは、途中で寝てしまったので、何とも言えず…。

驚いたのはシェーンベルク。持ち前のタッチの美しさを発揮して、シェーンベルクがこんなにロマンチックでいいの!?と言いたくなるくらい、美しく温かさを感じさせる演奏を披露してくれた。シェーンベルクって、もっと息を押し殺して聞くものではなかったかしら? 最近はシェーンベルクの保守的な側面が強調されることも多いけど、ここまでロマンチックなのは驚き。それも初期の作品ならともかく、すでに無調に入っている作品で。ぜひアンスネスには、シェーンベルクをはじめとして新ウィーン楽派を録音してほしい。

最後のベートーヴェンは、やや気負いが感じられた。第2楽章の中間部など、突然スウィングジャズが始まったようで、とても面白かったけど。でもあれこれ論評する以前に、こちらがもっとベートーヴェンの後期の様式に親しむ必要がある気がする。

何がともあれ、これで400ルーブルとはお得な演奏会だった。

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