2012年5月5日土曜日

エリシュカ&札響の「新世界より」

  1. アントン・ドヴォルザーク:スケルツォ・カプリチオーソ 作品66
  2. 同上:交響詩「野鳩」 作品110
  3. 同上:交響曲第9番ホ短調 作品95 「新世界より」
ラドミル・エリシュカ指揮、札幌交響楽団
4月27日 札幌コンサートホール 19:00~

06年に札響と初共演以来、人気急上昇のエリシュカ。彼の指揮で「新世界より」ならてっきり売り切れかと思ったら、然に非ず。やっぱり金曜日の夕方は、なかなか人が来づらい。

とにかくエリシュカが振ると、札響がワンランク上のオーケストラに聞こえる。楽器の重ね方にしろ歌わせ方にしろ、何というか、「高級感」が出てくるのだ。

前半の2曲はそれほど聞いたことがないので、何とも言えないが、「新世界より」はゆったりしたテンポで、上記の特徴がより顕著に感じられた。札響は何度もこの曲を演奏しているはずなのに、決して弾きとばさない。チェコ出身の指揮者だからローカル色があるかというと、むしろ逆の印象で、ものすごく洗練されたドイツの交響曲に聞こえる。今回の演奏はCD用に録音したらしい。たぶんHMVなどのユーザーレビューで、結構高い評価を得るのではないだろうか。終演後の拍手もかなり長く、帰り際、横を通り過ぎたおじさん2人が、「いや~堪能しました」と言っていたのが印象的だった。

が、にもかかわらず、である。私個人としてはイマイチ演奏に浸れず、退屈してしまったことも事実である。なぜって言われても困るのだが・・・。聞きながら思いだしたのは、私は長い間「新世界より」という曲が苦手だったということ。小学生の時以来、この曲がなんでそんなに名曲とされているのかさっぱり理解できなかった。この曲をまともに聴けるようになったのは、ここ5年ほどのこと。この演歌っぽい、ダサいメロディー、これこそが吉松隆の言う「恥ずかしいことは気持ちいい」を地で行く例なのだと、やっと理解することができた。そんな私にとって、エリシュカの奏でる音楽はあまりにも「上品」すぎる。質の高さは十分認めるけれども。

でも案外、CDで聞くと気に入ったりして・・・。

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