2011年8月20日土曜日

札響、8月の定期演奏会

  1. ベンジャミン・ブリテン:シンフォニア・ダ・レクイエム 作品20
  2. セルゲイ・プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番ハ長調 作品26
  3. ヨハネス・ブラームス:交響曲第2番ニ長調 作品73
高関健指揮、札幌交響楽団、小川典子(ピアノ)
2011年8月19日 札幌コンサートホールKitara 19:00~

最近、ペテルブルグでのコンサート三昧の日々が懐かしくなってきた…。

なぜかオフシーズンであるはずの8月に定期演奏会。開演前に、指揮者の高関健氏のプレトーク。高関氏によると、ブリテンは当初、この曲に「レクイエム」以外の名称を与えることも考えていたフシがあるという。またこの曲は、日本の皇紀2600年奉祝曲として委嘱されたものの、「レクイエム」というタイトルのために演奏を拒否されたということで有名だが、実は単純にスコアが届くのが遅れて準備が間に合わなかったらしいとか、いろいろと興味深いお話。

肝心の演奏だが、ブリテンは遅めのテンポで丁寧に仕上げている。第2楽章「怒りの日」なんて、たぶん相当難しいはずだが、札響は危なげない。札響って上手いなあと改めて思う。そういえば音楽監督の尾高忠明はイギリス音楽が得意だったんだ。

でもなぜか物足りなさが残った。この曲が持っているはずの切迫感が伝わってこない。実はこの日の演奏会、3曲とも丁寧に仕上げているはずなのに、なぜか迫ってくるものがなかった。丁寧に仕上げすぎて、お行儀がよくなってしまったということか。

プロコフィエフにしても、小川典子のピアノともども、もっとプロコフィエフの「才気煥発」を感じさせてほしかったし、ブラームスについては言わずもがな。今の日本のプロオケにとって、ブラームスを破たんなく弾くなんて造作もないことだろうけど、問題はその先。ブラームスって難しいなあと改めて思った。日本のクラシックファンの間で未だに本場もの信仰が抜けなかったり、晩年の朝比奈隆が神格化されたり、ということも、この辺りと関係があるのだろう。

実はブラームスの第1楽章の最初のほうで、客席の後ろのほうで奇声を発する人がいた。すぐに出ていったので、それほど大きなことにはならなかったが。さすがに高関健が棒を振りながら怖い顔をして振りむいたが、第1楽章が終わった後、問題の人がいなくなったことを確認して、ニコッとして第2楽章を振りはじめたのが印象的だった。

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